そして、こう付け加えた。
「そっちは、もしかしたら“仕事”なのかもしれないですね」
自分が取りにいくだけでなく、誰かが面白くなる場をつくる側へ。
その観察眼と力みのなさが、のちに映画の現場で不思議な強さを持つことになる。
「わしで大丈夫なん?」大悟が是枝映画に立つまで
大悟のもとに届いたのが、是枝裕和監督の新作『箱の中の羊』への出演オファーだった。
舞台は、少し先の未来。2年前に息子・翔を亡くした夫婦のもとに、翔と同じ姿、声、笑顔を持つヒューマノイドがやってくる。綾瀬はるかが演じる妻・音々はその存在を喜んで迎え入れるが、大悟が演じる夫・健介は、戸惑いを隠しきれない。
SF的な設定の奥にあるのは、亡くした人とどう向き合い、どう別れるのかという問いだ。健介は、喪失をうまく受け止められない夫として、その物語の中に立っている。
しかも、綾瀬はるかと夫婦役でW主演。最初に浮かんだのは、驚きよりも戸惑いだった。
「もう本当にびっくりしましたね。綾瀬はるかさんの夫役と聞いて、『わしで大丈夫なんですか?』とは言いました。でも監督は、『いやいや、思っているより大丈夫ですよ』と言ってくださって」
是枝監督が見ていたのは、バラエティで見せる大悟の自然な佇まいだった。
「『なんで僕だったんですか?』と聞いたら、監督は『ヤギと大悟』を見てくださっていたそうなんです。そこでの自然な感じがよかった、と。『子どもからお年寄りまで、喋り方を変えない方ですよね』と言われて」
誰に対しても、過剰に態度を変えない。それでいて、嫌な感じがしない。
“そのまま”の感じが、健介という役に重なった。オファーを受けることに、大きな迷いはなかった。
