その点、「Ray-Ban Meta」と「Oakley Meta」は、メガネ・サングラスとして定評のあるブランドのデザインを、そのままスマート化した製品だ。デザインに安心感があるうえ、実店舗で実際に試着して似合い具合を確認できる。IT製品というよりファッションアイテムとして売り出すことで、従来のメガネからスマートグラスへと乗り換える人を増やしていける可能性は高い。
ファッション製品化が普及のカギ
26年5月20日にGoogleが開催した年次カンファレンス「Google I/O」では、この秋に同社のAIサービス「Gemini」を搭載したスマートグラスを市場投入する計画が発表された。
このスマートグラスは、スマートフォン大手のサムスンに加え、Gentle Monster(ジェントルモンスター)やWarby Parker(ワービーパーカー)といったファッションアイウェアブランドとの協業によって開発される。
サムスンが単独でハードウェアの外観を決めるのではなく、日常的にメガネをデザインしている企業がルック&フィールを担当する点が特徴だ。
Googleは10年以上前、12年に「Project Glass」というスマートグラス系デバイスを発表したことがある。しかし当時の製品は価格が高いうえ、近未来的で奇抜なデザインが敬遠され、一般消費者が日常的に使うにはハードルが高すぎた。人々が求めているのは、「スマートな生活」をさりげなく支える製品であって、日常の見た目から大きく浮いてしまうようなデバイスではない。その現実は、今の時代も変わらない。
スマートウォッチなどを展開するファーウェイが、以前海外で販売したワイヤレスイヤホン機能を内蔵したメガネもGentle Monsterと提携し、デザイン性をアピールしていた。同社はその後日本のOWNDAYSとも協業。メガネ型のデバイスは機能だけでは選ばれないことを理解していたのだ。
スマートグラスは、スマートフォンやスマートウォッチの延長線上にある、自然なインターフェースとしてのポテンシャルを備えている。しかしどれだけ便利でも「毎日かけたい」と思えるデザインでなければ、メガネというカテゴリでは主流にはなりにくい。技術を前面に押し出すのではなく、まずは「自分に合う」や「かっこいい」など、メガネとして選ばれることが重要ではないだろうか。そこに踏み込めるブランドやプロダクトこそが、スマートグラスを本当の意味で日常の道具へと押し上げていくだろう。
