26日の欧州株式市場で、イタリアの高級車メーカーであるフェラーリの株価が一時約8%安と急落。同社初の完全電気自動車(EV)モデルの全容を明らかにしたが、市場は厳しい反応を示した。
世界有数の利益率を誇る高級車メーカーのフェラーリによる完全EV発表は、業界で大きく注目されていた。だが、株価の反応は同社がEV進出を図る上で直面する課題を浮き彫りにする。アナリストやソーシャルメディアの間では、テスラなど他のEVに似過ぎているとして、このEV「ルーチェ」が採用した4ドア・5人乗りのデザインに批判が集中した。
ホンダとテスラを混ぜたような外観
ルーチェの外観は、デザイン責任者であるフラビオ・マンツォーニ氏の従来のスタイルから離れ、インテリア設計にはアップルの元デザイン責任者であるジョニー・アイブ氏が起用された。
AIRキャピタルの調査責任者ピエールオリヴィエ・エシグ氏はリポートで、ルーチェの販売価格は55万ユーロ(約1億円)からと高額だが、「ホンダ『アコードEV』とテスラの『モデル3』を混ぜた」ような外観だと指摘し、「フェラーリは新戦略で『らしさ』を見失っている」との見解を示した。
高級EVの需要は予測が一段と難しくなっている。ランボルギーニやポルシェなどフェラーリの一部競合は、購入への関心が薄いことを理由にEV開発計画を鈍化させた。
フェラーリは24日にローマで3段階にわたったルーチェ公開の最後の発表会を報道向けに行い、全容を明らかにしていた。この情報が一般に公開されたのは25日夜だった。第1段階では中核的な技術が、第2段階では内装がそれぞれ公表されていた。
26日朝方のミラノ株式市場で、フェラーリ株は7.8%安まで売られ、年初来の下落率は8.7%に達した。同社の時価総額は530億ユーロ。
ルーチェのデザインは多くを失望させたが、実際に運転してみれば異なる評価を得る可能性も依然ある。同車は1000馬力超に相当する出力を持ち、2.5秒で時速100キロメートルまで加速する。これはV12エンジン搭載の同社スポーツタイプ多目的車(SUV)「プロサングエ」よりも速い。最高速度は時速310キロを超える。
それでも、株価の反応はフェラーリが迷走を続けている印象を深める。昨年発表された長期目標も投資家の失望感を招き、ブランドの中核であり続ける内燃機関モデルとEV技術をどう両立させるのか疑問を生じさせていた。
この目標では2030年における完全EVの販売比率を全体の20%と従来計画の半分へと減らし、純粋な内燃機関車を40%と、その2倍の水準に設定した。
著者:Daniele Lepido
