考えた末に花畑さんが企画したのが、2025年に「三木たかし 生誕80年プロジェクト」を開催するというもの。同年にCDやレコードの発売や、没後30年を迎えるテレサ・テンさんとのコラボなどを行う、一大プロジェクトである。
では、未発表曲はどのように形にするか。花畑さんが取ったのは、地道で泥臭い方法だった。人に紹介してもらったり、名刺を配りまくったりして、レコード会社や音楽事務所にアタックし続けたのだ。新聞社時代の営業経験が生きた結果と言えよう。
アポが取れたら、絶対に直接会いに行った。300以上の未発表曲のデータが入ったノートパソコンと小さなスピーカーを持って、実際に曲をいくつか聴いてもらう。メールでデータを送るより、確実に曲の魅力が伝わると思ったからだった。
すぐに成果は出なかったが「いい曲ですね。なんでこれ、出なかったんでしょうね」と言ってくれる担当者もおり、この方法は間違っていないと確信した。
「リストラされた56歳のおじさん」だと受け入れた
「音楽業界に大したツテもない、一介のサラリーマンだった自分は“部外者”で、できることは限られているかもしれない。でも、これしかないと思ってやっていました。結局、ベタな行動が一番刺さるんですよね。いろいろな人を頼って、“本流(音楽業界)”にいる人に会うように努力しました。
60年近く生きてきて、もちろんそれまでの経験やプライドもあります。でも、この音楽事業という新しい仕事に関してはド素人。正直に『わかりません』『教えてください』と言って相手の懐に入るようにしました」

