「1次試験の素描対策は、ネット上に過去の合格作品が結構載っているので、それを見て自分の絵と何が違うか、自分の強みは何かを自分で分析して、自力で行いました。2次試験対策やファイル制作は、美大の知り合いや紹介していただいた方に見てもらいつつブラッシュアップしました。
僕は予備校に通っていないので他の受験生との差がわからないことは正直怖かったですが、自分の立ち位置を知らずに能天気に過ごせたことがかえってよかったなと今では思います」
仕事は平日フルタイムで続けながら、夜や休日に作品を作り、試験対策を進めました。
・総合実技(図画工作を5時間の制約の中でテーマに沿って作る)
・面接(総合実技で作ったもののプレゼン・質疑応答)
「落ちたら翌年もまた仕事を続けながら挑戦する」と腹を決めて一本勝負で臨んだ小森さん。しかし、受験勉強はストレスもなく、楽しんでできていたそうです。
「聞く話によると美術予備校に通う人たちは、藝大に受かるために何を作るかのかが先行してしまったり、予備校側が出したお題に機械的に応答し続ける中で、精神を病んでしまう人も少なくないらしいのですが、僕の場合、自分の興味に沿ったテーマを勝手に設け、それをどのメディアで表現すれば適切かを考えることをしていたので、他人にやらされている感もありませんでした。自分が表現したいものを表す作業を積み重ねていく過程に受験があったという感じだったので、変に受験を意識せずに済みました」
「受験のための制作」ではなく「自分のための制作」として向き合い続けたことが、仕事との両立を可能にした原動力となりました。
こうして仕事をしながら楽しんで受験勉強を重ね、受験本番に臨んだ小森さん。
結果は合格。小森さんの同期24人中23人は大手予備校出身である中、予備校に通学することなく独学で試験を突破する快挙でした。
