金曜日の夕方、車の部品メーカーに勤める主人公のスマホに1通の通知が届く。それはよくある業務連絡に見えるメールだった。
主人公はメールのリンクをクリック。社内IDとパスワードを攻撃者に盗まれてしまう。攻撃者はその情報を使って社内システムに侵入し、サプライチェーンでつながる大手自動車メーカーへの攻撃を仕掛けた。
金曜日の午後4時
中堅精密機器メーカー旭精密工業の営業課長・佐藤健一(46歳)は、積み上がった書類とディスプレイの光に囲まれていた。窓の外はすでに薄暗い。月末の締め切り、来週月曜の役員会議で使う資料の作成、部下のミスの尻拭い。疲労は限界に達しており、思考には薄い霧がかかっていた。
「あと少しで今月も乗り切れる」
そう思った矢先だった。手元のスマホが短く震えた。プレゼン用の大容量動画データを、会社のファイル共有サービスへアップロードしている最中だったが、プログレスバーが「99%」で止まったまま動かないことにいら立っていたタイミングだった。
