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「資料を完成させようとしただけなのに…」金曜夕方のワンクリックが招いたサイバー攻撃 4工場停止までの72時間

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サイバー攻撃を受ける会社員
どうすれば、サイバー攻撃を回避できたのか(写真:ball_stockphoto/PIXTA)
  • 坪井 暁人 LRM取締役セキュリティ事業本部本部長・CISO
  • 藤居 朋之 LRM執行役員コーポレート部部長・CCO

INDEX

AIの普及でサイバー攻撃がますます巧妙化する今、多くの企業でセキュリティは依然として「情報システムの仕事」として捉えられています。しかし、システム対策だけでは限界があり、最大のカギとなるのは「人」への教育です。
本記事では、サイバー攻撃が企業と個人にどのような影響を与えるのかを、実際の事例を基にしたフィクションでご紹介します(『AI時代のセキュリティ教育 なぜサイバー攻撃から企業を守れないのか?』より、一部抜粋、編集してお届けします。本稿は前編です)。
※本記事に登場する企業名・人物名はすべて架空のものです。

金曜日の夕方、車の部品メーカーに勤める主人公のスマホに1通の通知が届く。それはよくある業務連絡に見えるメールだった。

主人公はメールのリンクをクリック。社内IDとパスワードを攻撃者に盗まれてしまう。攻撃者はその情報を使って社内システムに侵入し、サプライチェーンでつながる大手自動車メーカーへの攻撃を仕掛けた。

金曜日の午後4時

中堅精密機器メーカー旭精密工業の営業課長・佐藤健一(46歳)は、積み上がった書類とディスプレイの光に囲まれていた。窓の外はすでに薄暗い。月末の締め切り、来週月曜の役員会議で使う資料の作成、部下のミスの尻拭い。疲労は限界に達しており、思考には薄い霧がかかっていた。

「あと少しで今月も乗り切れる」

そう思った矢先だった。手元のスマホが短く震えた。プレゼン用の大容量動画データを、会社のファイル共有サービスへアップロードしている最中だったが、プログレスバーが「99%」で止まったまま動かないことにいら立っていたタイミングだった。

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