みたらし:歴史の継続的な流れの中に生きる個人として過去を見つめると、どうしても自分がやっていないことに対する「加害性」に向き合わなければならない瞬間があります。しかし、自分が次世代に向けて主体的になれる存在だと考えると、「同じ過ちを繰り返さないこと」が何より重要だと感じます。
主体的な自己と、歴史の流れの中にいる自己を、ある程度行き来する必要があるのではないでしょうか。主権者、ひとりの人間として「何ができるのか」を考え続ける。そして無関心層へと問題を発信し続けることも、加害への向き合い方になるのではないかと感じます。
澤田:歴史の中にいる自分自身の問題として、「自分ごと」として向き合い続けるということですね。
平和のために「自分の頭で考える」こと
みたらし:私がメディアでこうした発言をすると、「お前は反日だ」と批判されることがあります(苦笑)。でも、日本という国家への愛国心があるからこそ、自分たちが抱えてきた歴史にもニュートラルな目線を向けることが大事ではないでしょうか。
「慰安婦問題はすべて嘘だ」と主張する言説もありますが、それが果たして愛国心と言えるのでしょうか。そういったナラティブを、自分の世代に広げていくことが大事だと思っています。
澤田:逆もまたしかりですね。犠牲になった側だからといって、すべてが正しいというわけではありません。歴史が抱えている問題に対して、双方の社会が冷静に向き合っていくことが今必要とされている点だと思います。
丹羽さんが本書を通じて、Z世代をはじめとする若い方々に、「外の世界の情勢を知り、平和について自分の頭で考えてほしい」と強く訴えていたのも、まさにそうした冷静な視座を養ってほしいという切実な願いからなのでしょうね。
(前編はこちら)
(構成:泉美木蘭)
