お金があるのに部屋を借りられない。どれだけ頭を下げても、オーナーが「ダメ」と言えばそこで終わる。鮎川さんにとって、不動産仲介業の限界を突きつけられた瞬間だった。
技術ではなく「関係性」で孤独死を防ぐ住宅をつくろう
なぜ断られたのか。オーナーたちに事情を聞くと、返ってくるのは決まって「孤独死のリスク」という言葉だった。
「保証人がいないとか、お金がないとか、そういう問題じゃないんです。若い人だって保証人がいない人はいるし、家賃を払えない人もいる。それを担保するのが保証会社ですよね。問題の本質は、ひとり暮らしの高齢者が亡くなっても、誰にも気づかれないリスクなんです」
若い入居者は学校や職場に通っている場合が多いため、姿を見せなければ周囲が異変に気づける。しかしひとり暮らしの高齢者は社会との接点が少なく、発見が遅れやすい。発見が遅れると、警察対応や原状回復など精神的・経済的に大きな負担がかかる。そのリスクがオーナーにとって最大の懸念だった。
「それならば、孤独死のリスクさえなくせたら部屋を貸してもらえるはず」と考えた鮎川さんは、IoTセンサーメーカーの代理店になるなど方法を探りはじめた。しかし、やればやるほど違和感が膨らんでいった。
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【入居者は「死んだらすぐ見つけてほしい」なんて思っていない】
