通信会社が金融や生活産業に進出し、出版社がリアルなテーマパーク事業に乗り出す。異業種の企業同士が組むとき、話す言語も収益の考え方も時間軸も違う。その間に立ってブリッジできるのが、複数の業界に深く入り込んでいるコンサルタントだ。
「各業界の動向や市場理解、我々のこれまでの知見を踏まえると、異なる企業同士のシナジーによって新たなビジネスが生まれる可能性があります。そうした可能性を見出し、実現に向けて支援していくことが我々の役割です」
前任の関灘氏が掲げた「創造と変革」のうち、「創造」の部分を、コラボレーションという形で具現化していく。これが針ヶ谷氏のビジョンだ。
「いいねボタン」の付け方で見抜かれる
針ヶ谷氏の仕事の流儀で際立つのが、チーム作りへの執着だ。
「期待値を超える」――コンサルティング業界でよく使われる言葉だが、針ヶ谷氏の超え方は独特だ。長時間労働で無理をして超えるのではない。一人ひとりの強みを最大限まで伸ばしきることで超える。
「たとえば多国籍なチームで、日本国籍ではないメンバーがいたとします。一見関係なさそうでも、実はその国ですごく面白い動きが起きていて、日本人が調べても絶対に出てこない着眼点を持ってきてくれることがある。あるいは、お客さんとすぐ仲良くなれるタイプの人が、当初まったく想像もしなかった課題を見つけてきたり」
そのためにメンバーの観察を怠らない。ディスカッション中の反応、声のトーンの変化。何に食いついてくるか。何にモチベートされるのか。
「モチベートされないことで期待値は超えられない。本人がものすごく好きだったり、やりがいを感じているときに、初めて期待値を超えるアウトプットが出る。だから、この人は何がやりたいのか、何にモチベートされるのかをすごく考えます」
褒め方にも意図がある。みんなの前であえて褒めるときもあれば、こっそり「あれ良かったよ」と伝えるときもある。チャットのいいねボタンの使い方ひとつとっても、何にでも付けるわけではない。
