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キャリア・教育 #浪人したら人生「劇的に」変わった

「戦争のもたらす破壊力に太刀打ちできない絶望感」《国境なき医師団日本会長》が"人生は運で決まる"と確信した背景

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ナセル病院の手術室で術後の重傷乳児を診る
ガザ地区のナセル病院の手術室で術後の重傷乳児を診る=2023年11月20日Ⓒ MSF
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「人生は運だ」という気づきは、決して諦めや投げやりではなく、「コントロールできない運というものに私たちは抗えないので気負わず、気楽に、でもできることは粛々とやる」という彼女の生きる指針を明確にしました。その姿勢が生まれたことが、浪人生活最大の収穫だったといいます。

加えて、恋愛や人間関係も含め、「人生で最もアクティブに青春していた時期だった」とも語ってくれました。

「戦争の破壊力に絶望」でも、できることをやる

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現在は国境なき医師団日本の会長として、かつてテレビで見た「かっこいい大人たち」の中心に立つ中嶋さん。2023年にガザに入った時には現場でやる医療行為だけでは戦争のもたらす破壊力に太刀打ちできないとも感じ、絶望感も抱いたそうですが、「だからといって辞めるわけでもなく、できることをやるのみ」と言い切ります。

ガザのナセル病院で、停電時、スタッフ全員で携帯のライトを照らして手術を継続した=2023年11月30日 Ⓒ MSF

信念を持ち、仕事に取り組んでいる中嶋さんに、改めて浪人について聞くと、「誇り」という言葉が返ってきました。

「浪人を回り道と思ったことは一度もなく、誇りに思っています。医師になってからのほうがよっぽど寄り道しましたし。私にとって浪人生活は充実していたし、現在の国境なき医師団のメンバーとしての軸にもつながる大きな人生の学びもありました。

人間として成長できてやりたいことを追求できる贅沢な期間を与えてもらえるなんて、幸運だったと思っています。浪人のような経験は、多感な時期に人生に深みを出してくれたと思っています。私は現在も浪人ができたことに誇りを持っています。若者も『浪人は人生のプラスになることも大いにある、本当にやりたい誇りを持てる仕事につながる人生における有意義な準備期間』と捉えてもいいのではないかと思っています」

ガザ地区のナセル病院の手術室で術後の重傷乳児を診る=2023年11月20日 Ⓒ MSF

高校時代に医師を志し、浪人時代に人生観を深めて、憧れていた国境なき医師団の日本における会長になった中嶋さん。彼女の歩みは、浪人とは単なる受験の準備期間ではなく、人間形成がされるものなのだということを教えてくれました。

ガザ地区のナセル病院の手術室で術後の重傷乳児を診る=2023年11月20日 Ⓒ MSF

教訓:人生は運だからこそ気負わず、できることを粛々と、楽しみながらやっていく

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