そんな中でも、金田さんは少しずつ体を動かした。自転車に乗り始め、電気治療や指圧にも通った。そして何より支えになったのが、パートナーの存在だった。
「彼女に苦労させたくなかった。それが一番大きかったです」
当初、金田さんは本気でラーメンを諦めていた。
「障害者を雇ってくれる会社で働くしかないかなって考えてました」
それほどまでに、自分が再び厨房に立つ未来は見えていなかった。
手を差し伸べ、支えてくれたラーメン職人たち
だが一方で、心のどこかでは「作りたい」という気持ちが消えていなかった。
病院のリハビリでは、調理実習にも参加した。ラーメンは無理でも、ナポリタンを作って患者たちに振る舞った。
スーパーへ買い出しに行き、材料を選び、調理する。そんな何気ない時間が、金田さんにとっては大きかった。
「人に食べてもらうのが、やっぱり好きなんですよね」
改めて、自分は「作る人間」なのだと実感した瞬間だった。
退院後、転機となったのがラーメンイベントだった。知人たちが「復活祭」のような形で出店を企画し、金田さんも参加することになった。当初は不安しかなかったという。それでも現場へ行くと、多くの人が待っていた。
「お客さんが泣いてくれるんですよ。“また食べられると思わなかった”って」
その姿を見て、金田さんの中で何かが変わった。
「求められてるなら、応えなきゃダメだなって思いました」
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【「ラーメンなかったら、俺ほんと復活できてないです」】
