家庭での父親、あるいは母親としての役割が果たせなくなったという思いもこのような感情である。仕事を生き甲斐と考えていたような人は、がんに罹り、休養を余儀なくされると、将来を悲観してしまう。
仕事上の挫折は、心が落ち込む大きな要因となる。今までの充実した人生が急に崩れ去ってしまったような気がして、無力感に襲われてしまう患者もいる。
人間関係、金銭面などでも…
■暮らしの負担
「暮らしの負担」は、患者や家族の日々の暮らしが脅かされる状況である。家庭や周囲の人々との人間関係、金銭的な問題、職に関する問題などがその代表である。
以前は、「身体の苦痛」以外の「診療上の悩み」や「心の苦悩」や「暮らしの負担」については、医療スタッフは積極的には関与せず、患者や家族が独力で解決に向けて努力するしかなかった。
今でも、患者や家族の努力でしか解決できないことは多いが、最近では、医療スタッフやソーシャルワーカーが、このような悩みや負担を理解し、さまざまな形で手をさしのべるようになった。医療スタッフに苦痛・悩み・負担を訴えても解決しないとあきらめず、一度、相談してみることをお勧めしたい。
静岡がんセンターでは、「がん患者の悩みや負担に関する静岡分類」に沿って、患者や家族の苦痛・悩み・負担に対する助言集である「Web版がんよろず相談Q&A」をインターネット上で公開している(Web版がんよろず相談Q&A https://www.scchr.jp/cancerqa/)。
4-5 山口建「がんに対する総合的戦略 家庭医によるがん対策疾病管理と社会学の立場から」『治療』90(1); 6-13、2008
4-6 山口建「がんの社会学」『がん看護』17(2); 117-122、2012
4-7 山口建「がんの社会学」『がん看護』24(2)(1―2月増刊号); 121-132、2019
4-8 Yamaguchi K et al., Cancer patients’ distresses and inquiries: proposal of four-level classification based on consultation service and questionnaire survey, Cancer Sci, 98(4); 612-616, 2007
4-9 石川睦弓「静岡分類を用いた早期介入がん患者の隠れた悩みや負担に気づいて支える」『がん看護』24(7); 660-662、2019
4-10 静岡がんセンター「がん体験者の悩みデータベース 静岡分類」https://www.scchr.jp/cancerqa/star t_shizuoka.html

