千葉大学予防医学センターの小林周平特任研究員、中込敦士准教授、井手一茂特任助教、花里真道准教授らの研究チームは、日常生活を自立して送る高齢者を追跡したデータを分析、自宅近くに生鮮食料品店があるかどうかと、健康やウェルビーイングとの関連を検証した。
すると、徒歩1キロ圏内に野菜や果物、肉、魚などを購入できる生鮮食料品店が少ないと感じている高齢者ほど、外出の頻度が少ないことや、自分は健康だと思う主観的健康観、幸福感や、生活満足度、地域への愛着といった項目が低い傾向がみられたという。一方で、うつ傾向や絶望感は高いことも明らかとなったようだ。
調査は、日本老年学的評価研究機構(JAGES)のデータをもとに進められた。ベースとなったデータは65歳以上の高齢者を対象として行ったもので、同一人物を追跡する調査の形式で行われ、2013年、2016年、2019年に実施した。
同調査には全国21市町村が協力し、都市部から過疎地域まで、多様な地域に暮らす高齢者のデータが集まっている。高齢者の近隣環境について分析をした千葉大学の小林氏によると、高齢者にとって生鮮食料品店での買い物は単に食材を手に入れるだけでなく、外出機会や人との交流、地域への愛着を維持するための重要な役割を担っているという。
「買い物」の見えざる効果とは
近所に食料品店があるということは、食品を買いに行くために外出する目的地となる。そして新鮮な食料品を購入するといったニーズも達成され、健康的な食習慣や地域への愛着が形成される。
また、買い物先で知人に会えば、そこで会話も生まれる。こうした一連の活動が、健康やウェルビーイングにつながるというのだ。
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【「スローレジ」とは何か?】
