夜間作業は時間も限られる。都市部では終電はおおむね午前1時近くまで走っており、始発は4~5時台のため、その間は長くても3~4時間程度。準備や撤収に要する時間を含めると、実際に作業ができる時間はより短い。鉄道各社がコロナ禍の時期に終電時刻を繰り上げたのも、夜間工事の時間を少しでも延ばすことで工事の日数を短縮し、労働環境を改善するという狙いが大きかった。
一方で、ホームドアの設置をはじめとする設備の増加やインフラの老朽化などにより、作業量は増加が続いているのが実態だ。JR東日本は、メンテナンスの量は24年から35年までに約2割増えると想定している。
「日中のメンテ」首都圏にも拡大
これらの課題への対策として打ち出したのが「日中時間帯のメンテナンス」だ。列車本数の少ない地方路線では以前から日中に列車を運休しての作業を行っており、この5月も奥羽本線や男鹿線、花輪線、山田線、八戸線など、各地のローカル線で実施している。
首都圏でも都心部以外では実例がある。今年も1月に青梅線の青梅―奥多摩間(東京都)、4月には八高線の小川町―児玉間(埼玉県)、5月には成田線(千葉県)でも日中に一部の列車を運休してレールの検査などを行った。
今回の京浜東北線の工事は、こうした日中のメンテナンスを首都圏の都心部にも拡大していこうという施策の一環だ。
JR東日本は、都心部での日中工事の皮切りに同線の田端―田町間を選んだ理由について、「輸送体系やメンテナンスの必要性を総合的に鑑みて」と説明するが、山手線の線路を使って列車を運休せずに済む点は大きな要素だろう。時期を5月下旬にしたのは、利用者の動向とともに「日中時間帯での作業となることから、気温の高い酷暑期を避ける計画とした」(JR東日本)ためという。
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【日中「にも」作業できる体制に】
