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新薬承認から2年「認知症治療」はどう変わった? 予備群から使える一方、実際に治療を受けているのは「たった2割」のワケ

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受診風景
画期的な新薬が承認されて2年あまり。「認知症治療」はどう変わったのでしょうか(写真:Ushico/PIXTA)
  • 君塚 靖 えむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者
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受診者の実数は、やはり認知症のほうがMCIより圧倒的に多いが、受診者のトレンドを見ると、認知症ではコロナ禍の受診控えの影響があって2024年まで減少、その後に増加している。これに対して、MCIは上昇傾向が続いている。

これは、まさに新薬登場が、一因になっている可能性が高いのではないだろうか。これについて認知症治療に詳しい、東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)健康長寿イノベーションセンター臨床開発ユニット・ユニット長の井原涼子医師は、次のように話す。

「増加ペースのトレンドは臨床現場と相違はない。新薬が登場してから、MCIの段階で受診する患者の割合は増えている」

2023年、24年に新薬が登場

ここで少し認知症の治療について、簡単におさらいしておきたい。

認知症(ここではアルツハイマー型認知症とする)は長らく、症状の進行を遅らせる薬が主流だった。

その後、2023年にレカネマブ(レケンビ)、2024年にドナネマブ(ケサンラ)という抗アミロイドβ抗体が承認された。これらは既存の薬と違い、アルツハイマー型認知症の主な原因とされる脳内のアミロイドβとタウタンパク質に作用する。

朗報なのは、これらの薬はアルツハイマー型認知症だけでなく、その予備群であるMCIにも使うことができる点だ。

新薬登場の情報はテレビやネットなどを通じて広がった。それにより、日常生活の中で「自分は認知症かもしれない」などと感じた人が自ら、もしくは家族などの勧めで、「もの忘れ外来」などの専門外来を受診するようになり、それが患者数の増加につながったのではないか。

では、認知症やMCIで受診した人たちのうち、どれくらいの人が新薬による治療を受けているのだろうか。

井原氏が所属する東京都健康長寿医療センターでは、もの忘れ外来やアルツハイマー型認知症診療を専門にするDMT(Disease-Modifying Therapy:疾患修飾療法)外来を設けて、診療所などから紹介された患者を受け入れている。

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【新薬治療を始めた患者の割合】

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