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高市政権肝いり「インテリジェンス強化」に4つの"落とし穴"、国内の監視社会化を促すリスクも

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政府の「インテリジェンス(情報収集・分析)能力」強化に潜むリスクとは?(画像:tadamichi/ PIXTA)

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高市政権が重要政策として掲げる、「政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能強化」。その一環として、内閣に設置される情報・インテリジェンスの司令塔機関・国家情報会議を設置する法案が国会に提出されている。
世界情勢が激変するなか、日本のインテリジェンス機能強化は急務だ。一方、抜本的な改革には数多くの難題が立ちはだかる。拙速に事を進めれば、国内の「監視社会」化という意図せざる結果を招きかねない。
大手商社の調査部門で長年国際情勢に精通し、『海外経験ゼロの私に、世界と経済をイチから教えてください!』を上梓した国際情勢アナリストの武居秀典氏が解説する。
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4月23日、衆議院で「国家情報会議設置法案」が可決し、今国会での成立が確実となった。
政府は、急速に流動化する国際情勢に対応するため、国家のインテリジェンス機能を強化する方針を掲げている。

拙著『海外経験ゼロの私に、世界と経済をイチから教えてください!』で触れた通り、民間企業ですらインテリジェンス部門を新設する動きが増えている。
当然、政府の機能強化も不可欠であり、日本が国際社会で存在感を維持するためには避けて通れない取り組みである。

しかし、制度を整えれば自動的に機能が高まるわけではない。
議論は十分とは言えず、進め方を誤れば、国力向上どころか、民主主義や社会の健全性を損なう危険すらある。

さらに、日本には制度設計だけでは解消できない、より深い構造的な問題が横たわっている。インテリジェンス強化の必要性は明白であるにもかかわらず、実際の強化が容易に進まない理由がここにある。

本稿では、インテリジェンス機能をめぐって日本が直面する4つの落とし穴を整理したい。

インテリジェンスとは「意思決定の根拠となる情報」

まず本稿のテーマである「インテリジェンス」の定義を確認しておきたい。

インテリジェンスとは、「意思決定権者が判断を下す際の根拠となる、高度に分析された質の高い情報」である。単なる事実情報である「インフォメーション」とは目的もレベルも異なる。

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【インテリジェンス強化に「4つの落とし穴」】

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