「どいてどいて!道を開けて!」
4月24日~5月3日に開かれた北京モーターショーのプレス公開日に、車載電池で世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)のブース内で取材をしていると、警備スタッフに突然肩をつかまれた。
何事かと振り向くと、眼前に現れたのは同社創業者の曾毓群(ロビン・ゼン)董事長だ。曾氏は前身の民生用電池企業からスピンオフする形でCATLを2011年に設立、それからわずか6年でパナソニックを抜き車載電池の世界シェアトップ(25年は39.2%)企業に育て上げた。中国の自動車強国化を率いるレジェンドの1人だ。
この日、曾氏は気鋭の新興EVメーカー・零跑科技(リープモーター)の朱江明董事長を引き連れて、フル充電まで約6分の次世代超急速充電バッテリーや出資するeVTOL(空飛ぶクルマ) などCATLの最新技術を次々に紹介して回った。
中でも、年内の量産開始に向けて開発を急ぐナトリウムイオン電池「鈉新(Naxtra)」の試験装置の前で足を止め、熱心に解説を始めた。ここではマイナス50度の環境下に同バッテリーをさらす極低温試験を実演。極寒の苛酷な環境でも容量を維持し、安定して放電できる様子を示すデモンストレーションが行われていた。
CATLは現在主流のリチウムイオン電池に代わり、原材料にレアメタルを使わず調達価格が安定するナトリウムイオン電池の開発を急いでいる。リチウムイオン電池と比べると搭載車両の航続距離は短くなるものの、中国北部の厳冬期でもEV(電気自動車)を走行できる利点もある。曾氏は「量産化に向けた課題を克服した」と朱氏に語り、満足げに談笑していた。
EVの弱点を潰すBYD
最先端のバッテリー技術を披露したのはCATLだけではない。EV最大手・比亜迪(BYD)の王伝福董事長も驚くような電池の新技術を披露した。
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