中国で試験運転の動きが広がる自動運転タクシー、いわゆる「ロボタクシー」事業を手掛ける企業が商用化をにらみ、相次いで車両価格などのコスト削減に取り組んでいる。
現状では自動運転システムの開発会社や自動車会社がこの事業を試験的に手掛ける例が多いが、商用運転に移行するにはコストの引き下げが不可欠だ。このため各種コストの中でも比重の大きい車両やシステムの価格を下げることで事業を軌道に乗せようとしているのだ。
中国の自動運転スタートアップである小馬智行(ポニー・エーアイ)の彭軍CEO(最高経営責任者)は、4月24日に開幕した2026年北京モーターショーで、ロボタクシーの新モデルを発表した。車両本体、バッテリー、自動運転システムを含む車両総価格は23万元(約530万円)を下回り、「最低グレードは(アメリカのEV[電気自動車]大手テスラの)モデル3よりも安価になる」と述べた。
小馬智行は25年4月にロボタクシーをモデルチェンジし、同年11月から順次運用を開始した。同社はこのモデルチェンジにより、自動運転システムの総コストが70%低下したとしていたが、今回の新モデル投入で、さらなるコスト引き下げを実現することになる。
自動運転システムには、LiDAR(レーザー光を用いた3次元センサー)や高性能コンピューティングチップなど高価なハードウェアが必要で、さらに冗長性確保のための追加装備も求められるため、コストは高くなりがちだ。さらに業界の黎明期には、ロボタクシーの台数が限られており、既存の量産車に自動運転システムを後付けする形で改造するのが主流だったため、「少量多品種」の改造コストが重くのしかかっていた。
ロボタクシー専用車開発で製造コスト抑制
しかし近年はロボタクシー会社と自動車メーカーの連携が緊密になり、金型製作段階からロボタクシーとしての使用を想定して開発したモデルも出ている、と彭軍氏は説明する。小馬智行自身も従来はトヨタ自動車やホンダの中国合弁生産車をロボタクシーに改造していたが、近年は共同で専用車両を開発している。これにより例えば、従来はロボタクシーに改造する際に既存車両に穴を開けたり、ボディーの一部を切削したりするコストが不要となり、低価格を実現できるという。
一方、自動運転スタートアップである文遠知行(ウィーライド)も25年7月、従来比50%安い新世代自動運転システムを発表した。同社は、システム統合をさらに進めたことで、量産コストと販売後の保守コストが同時に削減され、プラットフォーム全体の稼働期間中のコスト合計(ライフサイクルコスト)が84%減少したとしている。
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【事業の黒字化はいつ?】
