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「そこそこ高単価」「でもテーブルは小さめで窮屈?」…サンマルクが出店「訪日客重視」"高級ハレカフェ"の魅力と課題

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昼のBAKERY CAFE C東京ソラマチ店
昼のBAKERY CAFE C東京ソラマチ店。レジ待ちの列が途切れることはなかった(写真:筆者撮影)
  • 鈴木 恵美 外食・小売に強いプロ広報/初代プレスリリースエバンジェリスト
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そして26年――。サンマルクHDは「BAKERY CAFE C」を出店した。たかが新業態、されど新業態。カフェ業界そのものの変遷と、サンマルクHDの次なる一手が現れた出店なのだ。

商品力は魅力たっぷりだが…世界観設計は改善の余地アリ

商品の魅力は十分に感じた。一方で、気になる点がいくつかあった。例えば、返却についてだ。

多くの日本人客にとって、この手のカフェはセルフサービスが基本だと感じるだろう。しかし、少なくない訪日客が、食器をテーブルに置いたまま退店する場面が続いた。価格帯から「セルフサービス」ではないと受け取った可能性がある。多言語案内はあるが、広い店内を利用する客の視界には入りにくいし、返却口の位置がレジ裏の奥でわかりづらかったのも一因かもしれない。この辺りは改善の余地があるだろう。

(写真:筆者撮影)
レジ裏の奥、随分と狭くなった通路のつきあたりにある返却口。既存のサンマルクカフェの返却口は退店導線にあるが、目立たない場所にしたかったのだろうか(写真:筆者撮影)
AIカメラ自動認識システム「BB BRAIN」。トレイのパンを自動識別して会計。言語の壁を技術で超える(写真:筆者撮影)

さらにもう一点。プレスリリースが掲げる「選ぶ・味わう・過ごす」のうち、「選ぶ」が実現できていない場面があった。

パンの陳列通路は、複数の客が同時に選ぼうとすると回遊しにくく、混雑してくると一方通行のようになり戻れない。例えるなら、ホテルのビュッフェではなく、ミスタードーナツの列のようなイメージだ。「あ、あのパンやっぱり欲しい」となった時に、挽回できる設計があると、より消費者の心を掴みそうだ。

また、高客単価設計に対して、ひとり用の丸テーブルはドリンクと皿を置くと収まりきらないサイズだった。ハレの体験を売るなら、什器と空間設計もその客単価に応えてほしいところではある。

ひとり用の丸テーブルに、パンの皿とコーヒーを置くと収まりきらない。また、生ドーナツは、1時間半程度の滞在時間中は売り切れが続き、ブランドの象徴であるクロワッサンに和の要素を取り入れた商品も、需要に供給が追いついていない状況も見られた(写真:筆者撮影)

いろいろと指摘しているが、だからと言って同店が「ハレのブランド」にならないかと言うと、そうとも限らない。実際、スターバックスがセルフサービスでありながら、その巧みなブランド戦略によっておしゃれなイメージを形成し、ハレ寄りに受け取られてきた。

だからこそ、ブラッシュアップは重要だ。そして、すでに現場では様々な改善、試行錯誤が確認できた。

次ページが続きます:
【「ハレとケが共存する空間」を実現できるか】

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