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ジャカルタ列車追突「安全装置なし」が招いた惨事 日本の中古電車巻き込まれ大破、過去30年で最大級

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ジャカルタ列車追突事故 現場
インドネシア・ジャカルタで起きた列車追突事故。通勤電車(右)に特急が突っ込んだ(筆者撮影)
  • 高木 聡 アジアン鉄道ライター
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ジャカルタ首都圏への人口集中や都市圏の拡大で、通勤電車の需要は急激に高まっており、設備改良と車両増備の両面で、日本は官民を挙げて支援してきた。その結果、この20年間で電車の運行本数は倍以上に増え、速度も向上した。

この事故が発生したブカシティムール駅も、円借款による政府開発援助案件「ジャワ幹線鉄道電化・複々線化事業(第一期)」(約410億円)として2017年10月に開業。同駅を含むブカシ―チカラン間の電化、ジャティネガラ―チカラン間の信号改良は住友商事と三菱重工が受注、インドネシアで日本の信号システム(電子連動と現示)が初めて採用され、日本の通勤路線並みの本数を運行することが可能となった。

その一方で、車両の強度が全く異なる日本製電車とアメリカ製機関車が、保安装置のないまま同じ線路を高速で数分おきに走るという、いつ重大事故が発生してもおかしくない状況が常態化していた。しかし、自動列車停止装置などの設置に向けた議論は、いっこうに具体化してこなかった。

今回の事故発生を聞いたとき、筆者は驚きの前に、起こるべくして起きてしまったとしか言いようがないと感じたのが正直なところだ。

日本式保安装置の導入検討も

ジャカルタに赴任経験もある日本の大手鉄道会社関係者は、現在のジャカルタ首都圏の状況を、「高度経済成長期で近郊の人口が爆発的に増加した1960年代の東京と非常によく似ている」と指摘する。

東京では1962年、常磐線で戦後の国鉄5大事故に数えられる多重衝突事故「三河島事故」が発生、多数の犠牲者を出した。これを契機に自動列車停止装置や列車防護無線装置の設置が進むことになったのは、鉄道関係者にはよく知られている。

ブカシティムール駅は円借款による政府開発援助案件として2017年10月に開業した。事故現場の目の前に設置されている、円借款協力で建設されたことを示す石碑。なんとも切ない気持ちになる(筆者撮影)

実は2020年前後には、日本式の自動列車停止装置(ATS-P)導入に向けた動きがあった。

2014年に円借款契約が結ばれた「ジャカルタ首都圏鉄道輸送力増強プロジェクト(I)」(約163億円)の中で、2015年に起きた日本の中古車両同士による追突事故が契機となり、ATS-Pを前提に保安装置の導入を検討することになった。

実際に日本から鉄道技術者団が派遣され、2023年ごろまでに基本設計と入札補助業務が実施された。先行導入予定区間は、まさに今回の事故が起きたジャティネガラ―チカラン間だった。しかし、残念ながら、その後の進展はなかった。しかも、ATS-Pを設置するのは通勤電車のみという前提だった。予算的にも技術的にも、全土を走る機関車に設置することは現実的ではなかったためだ。

しかし、同じ線路を電車と機関車牽引列車が共用している以上、全ての車両に保安装置を設置しなければ、安全性は担保されない。

【写真を見る】ジャカルタ列車追突「安全装置なし」が招いた惨事 日本の中古電車巻き込まれ大破、過去30年で最大級(24枚)

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