山で遭難した時に圏外から救助を呼べるか。山奥のおり罠に獣が入ったか、現地に行かずに確認できるか。衛星とスマートフォンの直接通信は、こうした場面を変え始めている。
この4月、同じサービスを3社が提供する体制が整った。同じ衛星を使い、同じアプリが動く。では何で差がつくのか。
KDDIは4月23日、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の説明会を開催し、提供開始1周年で利用者が400万人を超えたと発表した。同時に、海外ローミングを4カ国に拡大、圏外から緊急通報できる「SOSセンター」の新設、IoTデバイス向け直接通信の開始という3つの新サービスを打ち出した。
この発表の背景には、競争環境の急変がある。ソフトバンクが4月10日に「SoftBank Starlink Direct」を開始し、NTTドコモも4月27日に「docomo Starlink Direct」の提供を開始した。楽天モバイルは米AST SpaceMobileの衛星を使い、年内の商用化を目指している。楽天が予定通り開始すれば、大手4社すべてが衛星スマホ通信を提供することになる。
技術基盤が同じだから差がつきにくい
au、ドコモ、ソフトバンクの3社はいずれもSpaceXの「Starlink Mobile」を採用している。約650基の低軌道衛星(高度約550km)を共用し、スマートフォンのLTE周波数帯で通信する仕組みも共通だ。料金は3社とも「当面無料・申し込み不要」で横並びになっている。
利用できるアプリも大部分が重なる。衛星対応アプリはiOS・Androidが提供する衛星接続の仕組みに対応しているかどうかで決まるため、YAMAP、X、WhatsApp、ヤマレコ、SmartNewsといったサードパーティ製アプリはどのキャリアでも使える。
ソフトバンクが発表会でLINEやPayPayの衛星対応を前面に打ち出したが、これらもau・ドコモの契約者が利用できる。KDDIの門脇誠執行役員も説明会で「4月21日からLINEに対応した」と述べた。
次ページが続きます:
【「つながる」段階の先にある付加価値を狙うKDDI】
