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電力不足の危機に瀕するボイジャー1号、また1つ観測機器を停止も復旧のチャンスに懸ける

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オリオン宇宙船から月越しに見る地球(画像:NASA)
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ちなみに、いったん電源を切った観測機器を再稼働させるのはあり得ないことではない。ボイジャーのエンジニアは昨年、20年近くも動作不能と見なされていたボイジャー1号のスラスター群を復活させることに成功している。

余命幾ばくもないと言って過言ではないボイジャー1号だが、ボイジャー2号とともに少しでも長く運用を継続し、さらなる新発見のもとになるデータを送り続けてほしいところだ。

数々の新発見をもたらしてきたボイジャー1号

ボイジャー計画が、太陽系の地球から外側の惑星および太陽系外の探査計画であることはすでに説明した。以下では、ボイジャー1号による発見の数々を振り返る。

まず、打ち上げから2年後の1979年に到達した木星では、ボイジャー1号はその衛星や環、木星系の磁場や放射線環境に関するデータを収集した。特に木星の衛星イオに関しては、撮影した画像の中に火山活動を捉えたものが発見された。この火山の噴煙は9つ発見され、イオでは激しい火山活動が活発であることが判明した。火山活動に関しては、同じく木星の衛星であるガニメデおよびエウロパの重力がイオに影響している可能性が予測されていた。

他にも、木星でボイジャー1号が撮影した画像からは、それまでに見つかっていなかった新しい木星の衛星、テーベおよびメティスが発見された。

1980年に接近した土星では、象徴的な環の構造や、木星にも似た大気の様子を調査した。この観測では、土星の環に未発見だった新しい環発見され、G環と名付けられた。

写真左側に淡く写るのが土星のG環(画像:NASA / JPL)

さらに土星では5つの新しい衛星も発見された。そして、ボイジャー1号は土星の衛星タイタンでも大気に関する観測を行った。その後、タイタンの重力を利用して加速するスイングバイ航法によって、太陽系の外に向かった。

1990年に、ボイジャー1号は海王星の公転軌道よりも遠くに到達したところで太陽の方角にカメラを向け、はるか彼方の地球を写真に捉えた。ボイジャーから見える太陽系の惑星全体をモザイク状につなぎ合わせて1枚にする「太陽系家族写真」のために撮影されたその写真に写る地球は「ペール・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」と呼ばれ、全人類からあらゆる動植物まで、生物すべてが生活する地球が、広大な宇宙の中では小さなひとつの点でしかないことを象徴する写真として知られている。

ボイジャー1号が約60億kmの彼方から撮影した地球「Pale Blue Dot」(画像:NASA / JPL-Caltech)

ちなみに、ボイジャーの撮影チームのメンバーでもあった著名な天文学者カール・セーガンの発案で撮影されたこの写真は、これまでに最も遠くから地球を捉えた写真でもある。

その後もボイジャー1号は星間空間に向かって飛行を続け、2012年8月25日に太陽風の影響が及ぶ太陽圏から、その外側の星間空間に出ていたことが明らかになった。

星間空間に出たときのボイジャー1号の位置(画像:NASA)

ボイジャー1号は地球から最も遠くに到達した人工物であり、現在は恒星や惑星など、特定の目標物を目指して飛行しているわけではないが、へびつかい座の方向に向かって航行を続けている。

もうひとつ忘れてはならないのは、ボイジャーは打ち上げ当時の人類からのメッセージを記録したゴールデンレコードを携えているということだ。このレコードには日本語の音声メッセージも含まれている。

ボイジャー1号が搭載ゴールデンレコード(画像:NASA)

ボイジャー1号は約4万年後に、グリーゼ445と呼ばれる赤色矮星に約1.7光年の距離まで接近する。もしその星系に生命が存在し、高度な文明を築いていれば、そこに住む誰かがボイジャーを発見するかもしれない。そしてそれは、彼らが宇宙には他にも生命が存在することを知るきっかけになるだろう。

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