そのため、RTGの電力低下に対する最善策は、残っている観測機器のうちひとつの電源を切り、残る機器とシステム全体の運用を維持することだった。
NASAジェット推進研究所のボイジャーミッションマネージャー、カリーム・バダルディン氏は「科学観測機器の停止は誰にとっても望ましいことではないが、現状では最善の選択肢だ」とし、「ボイジャー1号には、プラズマ波を観測する機器(PWS:プラズマ波動サブシステム)と、磁場を測定する機器(MAG:磁力計)という、2つの科学観測機器が稼働状態で残っている。これらは今もなお正常に機能しており、人類がこれまでに調べたことのない、宇宙の領域からデータを送ってきている。チームはボイジャー1号をできる限り長く稼働させ続けることに注力している」と語った
さらなる延命策「ビッグバン」
LECPを停止させたことで、予想では2025年ごろに尽きると予想されていたボイジャー1号の電源寿命に、今後約1年の猶予ができたとNASAのエンジニアたちは考えている。そしてその期間を利用して、チームはボイジャー1号により積極的な省エネルギー対策、名付けて「ビッグバン」を施すための調整を行うことを計画している。
「ビッグバン」は、ボイジャーの一部装置の電源を切り、より消費電力の少ない装置で代用できるようシステムを組み替えて、探査機の温度を一定に保ちつつ科学データ収集を継続可能にする試みだ。ボイジャーミッションチームはまず、RTGの電力にまだ余裕があり、(1号に比べて)地球に近い位置にあるボイジャー2号に対して、5~6月に「ビッグバン」を試す予定だ。この実験がうまくいけば、7月以降にボイジャー1号にも同様の対策を施す。
「ビッグバン」の結果が良好ならば、ボイジャー1号のLECPを再び稼働させられる可能性も出てくる。なお、ミッションチームはLECPを停止する際、その一部である小型モーターだけは生かしておいた。このモーターは、LECPで全方向をスキャンするときにセンサーを回転させるためのものだが、これを稼働させておくことで、将来的に余剰電力が確保できたときに、LECPを再び動かせる可能性も高まるとの判断からだ。
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【ボイジャー1号は地球から最も遠くに到達した人工物】
