東洋経済オンラインとは
ビジネス

著名投資家が失敗すると確信した「Airbnbのビジネスモデル」はなぜ成功したか? 絶妙な「ブランドのポジショニング」

7分で読める
Brand Shift 「信頼」で選ばれる時代の成長戦略
他との違いを明確にし、独自の立ち位置をつくることを「ブランドのポジショニング」と呼びます(写真:Taku/PIXTA)
  • レイ・イナモト I&CO創業パートナー / クリエイティブ・ディレクター
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

Airbnbはこの前提を覆した。世界のどこでも自宅の延長のように過ごし、住人のように街を体験できる仕組みをつくった。誰かの家に泊まり、台所を使い、近所のカフェで常連のように過ごす。旅行は「よそ者の一時滞在」から「居場所の拡張」へと変わったのである。この対比軸があったからこそ、Airbnbは単なる宿泊サービスではなく、旅行そのものを再定義するブランドとなった。

もしAirbnbが「ホテルより安い」「予約が簡単」といった機能的な差別化にとどまっていたなら、ここまでの成長はなかったはずだ。「ホテルか、自分の居場所か」という対比軸を示したからこそ、人々の意思決定に新しい基準を持ち込むことができたのである。

さらに重要なのは、この軸が広告コピーやスローガンにとどまらず、サービス全体に一貫して組み込まれていることだ。プラットフォームのデザインは均質なホテルルームではなく、多様な生活空間を映し出した。

レビューやプロフィールは、宿泊者とホストの間に単なる契約を超えた関係性を築いた。こうした仕組みすべてが、「どこにいても自分の居場所を感じられる」という思想を体現していた。

対比軸を提示する

ポジショニングとは「他より優れている」と叫ぶことではない。対比軸を提示し、人々に選択肢を提示することである。Airbnbは「ホテルに泊まるか、世界中を自分の居場所にするか」という対比軸を打ち出した。それによって、旅行者の頭の中に新しい座標を刻み込み、ブランドを際立たせた。

ポジショニングは単なるマーケティングの技法ではなく、ブランドの存在意義を示す羅針盤なのだ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象