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ビジネス #ドローン経済安保の衝撃

日本のドローン防衛が抱える調達のアキレス腱、元防衛装備庁長官の警告/特定国に依存しない生産基盤構築に必要なこと

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土本氏は軍事ドローンの進化が数年前の政府想定を超えていると言う(撮影:尾形文繁)

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ドローンが世界各国の軍事戦略を揺さぶっている。日本政府も巨額の予算を投じ、自衛隊を「世界一、無人アセットを駆使する組織」へと変革する方針を掲げる。それは本当に可能なのか、国内企業に供給能力はあるのか。防衛装備品の調達・開発を担った元防衛装備庁長官の土本英樹氏に聞いた。

――ウクライナや中東でドローンの存在感が急速に増しています。この変化をどうみていますか。

私が装備庁長官だった2022年末に策定されたのが、現在の安保3文書(日本の防衛政策の基本方針。「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」で構成される)だ。その中の「国家防衛戦略」で、ドローンをはじめとする無人アセットはゲームチェンジャーになりうる、と位置づけている。先見性は評価できると思う。

激変した戦場、日本のスケジュール感は遅い

ただ、「おおむね10年後までにドローンを用いた戦い方を具体化し、本格運用を拡大する」と記されているが、進化のスピード、スケジュール感は率直に言って、想定を完全に上回っている。

――ここ数年で何が大きく変わったのですか。

大きく5つの変化がある。

第1に、ミサイルと安価なドローンを組み合わせた大規模な複合攻撃が常態化した。従来、軍事用ドローンといえば、アメリカ製の「RQ-4 グローバルホーク」や「MQ-9 リーパー」のように、1機数十億円の大型機のイメージだった。しかし現在は、ウクライナなどを見ればわかるように、小型・安価・高性能なドローンを大量投入する戦術へとシフトした。高価な艦艇や航空機を、安価なドローンで打撃する戦い方が主流になっている。

第2に、防御側の戦術とコスト概念が変わった。大量に飛来する安価なドローンに対し、1発数億円の迎撃ミサイルを撃つのは現実的ではない。防御側も、デコイ(おとり)の配置、対空機関砲や迎撃ドローンの活用、施設のシェルター化など、コストを極限まで抑えた対応を迫られている。

土本英樹(つちもと・ひでき)/1961年生まれ。岐阜県出身。京都大学卒。86年防衛庁(現防衛省)入庁、2004年イラク復興業務支援隊としてサマーワ駐在。20年整備計画局長、22年防衛装備庁長官、23年防衛省退職 (撮影:尾形文繁)

――3つ目以降の変化とは。

第3に、AIを使った意思決定の「超高速化」がある。ドローンの長時間滞空能力とAIによるデータ処理を組み合わせることで、目標発見から攻撃までの時間が劇的に短縮された。

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