市は道路事業の廃止は困難と悟り、2021年から「折衷案」の検討を始めた。有識者を集めた「学術検証懇談会」で「現実的な解として折衷案が必要」との意見が出されたのがきっかけだという。とはいえ、2024年度までは、一般車両の通行は認めず、緊急車両のみが通れる道路を想定して検討が進められていた。
しかし、2025年の市議会11月定例会で、広沢市長は一般車両が通れる道路を建設する計画を明らかにした。結局、相生山緑地を横切るのは普通の道路となった。
道路建設が再開されると、相生山緑地はどうなるのか
この1〜2年で急展開した相生山緑地の道路問題。道路建設に反対してきた「相生山緑地を考える市民の会」の共同代表を務める建築家の福井清さん(77歳)は、名古屋市の「高架式にして環境に配慮する」という折衷案について、手厳しく批判する。
「道路ができたらどういう問題が起きるか検証し、公表して、皆の意見を聞いて、ではどうしましょうかということをやろうとしない。生態系への影響という問題から目をそらし、避けるために、折衷案で行く、とした」
道路ができれば、相生山緑地はどうなるのか。福井さんは深刻な影響があるとみる。「相生山緑地というまとまった大きな生態系が、小さな二つの生態系に分かれてしまう。高架式道路ができると地面に雨が届かず、乾燥する。風の通り方も変わり、そこにいるヒメボタルのエサとなる生きものや微生物にもみな影響する」。
「相生山の自然を守る会」の代表、野田恵以子さん(82歳)は、「ヒメボタルは、みかんの花が咲き始めてちょっとみかんの香りがするころ、出始めるんですね。蛍がたくさんいるころには、テイカカズラのいい香りがする。蛍の季節が終わるころには、栗の花の匂いがわっとしてくる」と、毎年、花の香りとともにホタルの季節を楽しんできた。
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【工事再開の撤回を求める1万5374人の署名】
