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「食事の邪魔しない」と若者に人気…「翠」「ROKU」バカ売れで"ジン"旋風 サントリーが65億円投資で見せた本気

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サントリーの大阪工場 スピリッツ・リキュール工房(写真:筆者撮影)
ジンが、売れている。サントリーは総額65億円で生産体制を強化した(写真:筆者撮影)
  • 丹羽 桃子 工場見学マニア・ライター
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ツアーは約80分、1回あたり20人の少人数制で、年間来場者は約5000人を見込む。

他の見学ツアーと比べると、決して大きな集客規模ではない。そこには、体験を通じてブランドへの理解や愛着を一人ひとりにじっくりと深めてもらう狙いがあるとみられる。インバウンドにも対応し、英語字幕や翻訳アプリによるサポートも用意されている。海外市場を視野に入れたブランド発信拠点としての役割も期待される。

サントリー大阪工場 スピリッツ・リキュール工房(写真:筆者撮影)

実際にツアーに参加してみると、その設計思想は明確だ。ラウンジでブランドの歴史を映像で理解させた後、実際の製造設備を見学し、最後にテイスティングへとつなげる。

理解→納得→体験という流れが意図的に組まれている。この流れ自体は、一般的な工場見学と変わらないのだが、各工程での演出や体験の密度が高く、スピリッツ・リキュール事業に対する同社の本気度がうかがえる。

「参加費3000円のツアー」実際に潜入

サントリー大阪工場 スピリッツ・リキュール工房(写真:筆者撮影)

サントリーの大阪工場 スピリッツ・リキュール工房の見学ツアーへの参加費は3000円。一般的な工場見学と比べると高めだが、同社は山崎蒸溜所などで類似ツアーを展開しており、来場者が足を運びやすい水準と体験価値のバランスを踏まえた価格設定とみられる。

見学ツアーは、「はじまりのラウンジ」での映像説明のあと、「ボタニカルロード」を通り、工房へと移動。ボタニカルロードには、製品に使用される素材と同品種の植物や、ジュニパーベリーやレモンなど、ジンで使われている?)ボタニカルが植えられている。足元に刻まれている、創業者・鳥井信治郎氏のことばにも注目だ。

ボタニカルロードに植えられている植物(写真:筆者撮影)

工房の4階へ上がると、照明を落とした落ち着いた展示空間が広がり、工場見学マニアとしてはこういった世界観の演出に、どうしても心が躍ってしまう。とはいえ落ち着いた空間だけに、その高揚感はぐっと胸の内に収める。

山椒や柚子など、さまざまな原料素材が並び、見た目や香りから、それぞれの特徴が浮かび上がる。ジンに使われるジュニパーベリーは試食も可能で、製品の背後にある素材を体感させる設計といえる。

スピリッツやリキュールに使用される原料素材の展示(写真:筆者撮影)

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【価値を伝える取り組みは差別化の重要な要素】

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