神奈川県エリアのスタートアップと、行政による地域内民間事業会社同士のオープンイノベーション支援の概要を3月27日の配信記事「神奈川県のスタートアップの現状と支援の実態」で紹介した。今回は、続編として社内外の連携で革新的なビジネスを創出する「オープンイノベーション戦略」に焦点を当て、スタートアップ、事業会社(企業)、行政の三者の視点から、神奈川県で行われる取り組みに関わる動機、背景、インセンティブ、思惑を見ていきたい。
神奈川県はオープンイノベーション支援に注力
その前に前回のおさらいをしたい。神奈川県はKSAP(かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム)で選定したスタートアップの事業成長を支援し、オープンイノベーションを生み出す取り組みをしている。
またBAK・YAKのアクセラレーション・プログラムを実施しており、BAKが民間企業とスタートアップのオープンイノベーションを、YAKが神奈川県の行政とスタートアップとのオープンイノベーションによる新規事業創出を支援している。
選定された多くはシードやアーリー期のスタートアップだ。クラフトビール醸造過程で出るモルトかすを紙に混ぜ込んだ再生紙のkitafuku(キタフク)や、設置型完全個室ベビーケアルーム「mamaro」のTrim(トリム)、離婚後の親子交流を支援する子育てアプリ開発のGUGEN Software、不動産仲介業務改善DXクラウドの小田原社中、地方自治体の記者クラブのDXシステム開発のShireru(シレル)などが名を連ねる。
ほかにもカスタムデザイン缶の日本酒一合缶ブランド「ICHI-GO-CAN」を展開するAgnavi(アグナビ)、自営型ワイヤレス通信サービスのユーリカ・ワイヤレス、汚泥減容・水質改善の浄化槽を開発する水と古民家、植物細胞壁に含まれる不溶性の多糖類ヘミセルロースを素材として活用するヘミセルロースなど、KSAPには多彩な顔ぶれが集まる。
直近の2025年度のBAK・YAKプログラムに参加しているスタートアップでは、海藻由来の塩分吸収サプリメント開発の熊本のスタートアップのトイメディカルがある。トイメディカルは、25年12月に3億円の資金調達を実施。累積調達額は11億円を超える。地元の県内スタートアップだけでなく、県外スタートアップも神奈川県のプログラムに参加している形だ。
そのほか、前編記事でも紹介した医療・介護従業員を対象にしたオンラインのコンディションケア面談サービスを展開するとはなすや、島根県出雲地方で、地域の日常に溶け込み対話を通じて心身の健康と"おせっかい"をデザインする「コミュニティナーシング」を展開するCNC、地域のお寺のリソースを活用したビジネスを手掛けるOTERA(逗子市)なども25年度のプログラムに参加している。
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【26年度も実施予定】
