そして2つ目の要因は、「間違った顧客理解をしていた」ことだ。ロングセラーゆえに「赤箱」の認知度は高く、古参社員は「お客様は当然商品のことをよくわかってくれているはずだ」と思い込んでいた。そのため、長年ユーザーの声を聞く機会が設けられていなかったらしい。だが、のちに実施した顧客インタビューで、「自分たちがいかにずれた認識を抱いていたか」を思い知らされることになる。
最後の3つ目の要因は、「社員の『赤箱愛』が強すぎた」ことだ。それぞれの立場から「『赤箱』はこうあるべき」という思いが強く、社内では変化を受け入れにくいマインドが生まれてしまっていた。
「黄金期を知る社員は、今まで通りの『赤箱』を守りたい。一方で、若い社員は今後もブランドを残すために、『何かしなきゃ』と課題感を抱えていました。残念ですけど、『好き』っていう気持ちが強ければ強いほど、違う意見が出たときにぶつかってしまうんですよね。他の商品だったら、丁寧に説明すれば大抵わかってもらえるんですが……」
「赤箱」を箱入り娘のように溺愛し、アンタッチャブルな存在として神聖化していた同社。この頑なな姿勢が、その後の改革の足枷となっていく。
「商品名が知られてない」間違っていた顧客像
「時代に合わせて『赤箱』本来の価値を見直す」
この目標を掲げたプロジェクトでは、まず初めに顧客インタビューを実施した。その結果、メインユーザーが高齢化しており、ブランドとしてあまり新陳代謝がよくない状態に陥っていることがわかった。
さらに、「赤箱」「青箱」の製品の違いが理解されていない、という事実が炙り出された。
だが、それよりも社員を驚かせたことがある。それは、「赤箱」「青箱」という2つの商品名すら、顧客に浸透していなかったことだ。
「そもそも、当時は表のパッケージに『赤箱』って書いてなかったんです。裏の成分表示部分には書いてあったんですけど、そんなところまで見ませんよね。でも、社内ではみんなが『赤箱』って呼んでたので、そんなことにも気がついていませんでした(苦笑)。
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【アンケートの結果、商品理解に課題があるという結論に】
