また、製品は『赤箱』がしっとり、『青箱』がさっぱりとした洗い上がりなのですが、『香り違い・色違い』としか認識されていなかったんです」
実は、以前から製品の違いに関する問い合わせは、お客様相談室に多数入っていた。だが、その状況を「顧客像のずれ」として受け取る社員はおらず、かつ「デザイン変更が禁止」されていたことで、手立てを打つ発想が欠けていたのである。
アンケート結果を鑑み、「『赤箱』の品質は自信をもっておすすめできるが、商品理解に課題がある」という結論に至った。そこで、商品の特徴がユーザーに伝わりやすいよう、2013年(平成25年)にパッケージをリニューアルし、表面に「赤箱」「青箱」の印字を追加。2015年(平成27年)には、さらに「しっとり」「さっぱり」の表記を加えた。
社内の協議がスムーズに進まなかった理由
ここまでで、プロジェクトの立ち上げから4年が経過している。なぜ、微細なパッケージ変更しかできなかったのか。これには理由があった。
「今思えば、1年もかからないような変更なんですけど、社内の協議がスムーズに進まなかったんです。さまざまな議論を経て合意形成に至るまでに、2〜3年を要しました。他の商品だったら、ここまで時間はかかりません」
その一方で、「赤箱再生プロジェクト」の動きを受けた営業部門では、地道な活動によって取り扱い先を少しずつ拡大していった。すると、前年比13.3%の売り上げ増につながった。
業績全体で見れば微々たる変化だが、20年間下り調子だった製品だ。売り上げがほんの少し上向いただけでも、「やれば伸びるじゃないか」と社内はさらに前向きなムードへと変わっていったのである。
このあと、ユーザーの後押しをきっかけに、「赤箱再生プロジェクト」は一気に潮目が変わっていく。続く後編では、さらなる改革で果たしたV字回復の軌跡と、期せずして受賞した「@cosme ベストコスメアワード」の裏側を深掘りする。
