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ライフ #井手隊長のラーメン見聞録

「なかなか食べられないレア商品」「価格は驚きの360円!」 すき家が投入「とん汁みそらーめん」が決して"迷走"でないワケ

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すき家
「すき家」が販売を始めたとあるラーメンが話題になっている(写真:筆者撮影)
  • 井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン
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結果として、非常にあっさりしている。ラーメンとしてのパンチは控えめだが、その分、牛丼の味噌汁代わりとしては抜群に機能する。特に朝食帯にはフィットしやすく、軽く食べたい層にはむしろこのバランスが心地よい。

この一杯は確実に次へつながる布石だ

ここに、この商品の本質がある。この「とん汁みそらーめん」は、単体でラーメン専門店と戦うための一杯ではない。あくまで牛丼の価値を底上げするための導線として設計されているのだ。ポイントとしては以下の4つが挙げられるだろう。

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・牛丼+αの満足度向上

・客単価の微増

・来店頻度の向上

・新カテゴリーへの布石

特に重要なのは、いきなり本格ラーメンに振らなかったという判断だろう。すき家はまず、自社の強みである既存オペレーションと商品資産を活用しながら、ラーメン市場に足場を築こうとしているのだ。これは、吉野家や松屋が外部資産(M&Aや専門店)で一気に拡張しているのとは対照的なアプローチだ。

では、この先に何があるのか。おそらくこの商品が一定の成果を上げれば、次はよりラーメンらしい商品への展開が考えられる。重要なのは、いきなり完成形を出さないという点である。外食産業においては、小さく試し、データを取りながら拡張していくことが成功確率を高める。その意味で、この一杯はまだ実験的要素が強い。

既存資産を活用し、進化を続けるすき家。「とん汁みそらーめん」は、示唆に富んだ一杯なのだ(写真:筆者撮影)

「とん汁みそらーめん」は、味だけで評価すればシンプルで控えめな一杯だ。しかし、その裏にある戦略を読み解くと、極めて示唆に富んでいる。

牛丼チェーンがラーメンに向かう理由。既存資産を活用した効率的な商品開発。そして、段階的に市場へ浸透させる戦術。派手さはないが、この一杯は確実に次へつながる布石だ。

ラーメン戦争は、専門店同士の争いだけではない。巨大チェーンによる静かな侵食が、いま確実に始まっている。

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