イランとアメリカが2週間の即時停戦に合意したことで安堵感が広がったものの、ホルムズ海峡の航行が正常化したと言える状況には程遠く、今度はトランプ大統領がホルムズ海峡を逆封鎖するとも発言。石油の備蓄活用を通じた持久戦の恐れは依然払拭されていない。
原油価格も大幅に下がったとはいえ、1バレル90ドル台にあり、このままいけば日本の輸入金額を5兆~8兆円ほど押し上げる怖さは残ったままである(参照:石油備蓄放出の先に待つ「貿易赤字の崖」と円売り)。
こうした中、ドル/円相場も1ドル160円近傍での推移が続いている。イラン攻撃を受けた原油を筆頭とする資源価格高騰と、それに脆弱な日本の貿易収支への連想が円売りを主導している。
連想の大元になっている原油価格については、その先物価格に対して政府・与党からの介入意思が断続的に報じられており、「資源価格高騰が現在の円安相場の起点」と評価されていそうなことは想像にかたくない。
より広範な解釈をすれば、その資源価格高騰に対しガソリン補助金などの手段を通じて継続的な財政出動が行われているため、財政リスクプレミアムとして円安が進んでいるという理解もできる。
現に、10年国債利回りが2.4%を突破し、27年ぶりの水準に至っている。為替市場だけではなく、債券市場でも資源価格が値動きに大きな影響を与えている状況である。
不可避の貿易赤字拡大に付け込む投機
為替市場の変動については、それが実際のフローに基づいた「実需の変化」であるのか、それとも根拠薄弱な思惑に基づいた「投機の変化」であるのかが争点になる。
「実需の変化」に関しては「ファンダメンタルズの変化」であるのか、と読み替えてもよい。これに即して言えば、現在の円安は「『ファンダメンタルズの変化』を当て込んだ『投機の変化』」によってもたらされており、さしずめ「実需と投機の共鳴相場」と表現できそうである。
なお、当面の貿易収支は備蓄放出の影響もあって、いつ悪化するかが正確には読めず、実際には大きな「ファンダメンタルズの変化」は起きていない。これは、そもそも3月以降の貿易統計が未発表という大前提はさておき、石油備蓄放出により3~5月分(4~6月の発表分)については輸入急増が可視化されないという特殊要因があるためだ。
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