イギリスの鉄道「民営化後に再国営化」複雑な現状 新たな「国鉄」ロゴやデザイン発表、見た目が先行

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26年春時点では、ロンドン近郊やイングランド南西部を運行する「サウス・ウェスタン鉄道」など複数の主要運行会社がすでに国営持ち株会社(DFTO)の傘下となっており、利用者数ベースではイギリス全体の約3分の1以上をカバーするまでになっている。26年5月末には、ロンドン広域の通勤輸送をはじめ広範囲の路線網を運行する、イギリス最大級の運行会社ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ(GTR)も国営化を控えている。

すでに国営化されたイギリスの列車運行会社
【写真】すでに国営になった「c2c」の電車。民営だった時代と見た目は変わらず名前もそのまま運行している

政府は27年までに、イングランドの主要な旅客鉄道の大半を国営化する計画を掲げている。一方で、運行とインフラを一体的に束ねる法的枠組みについては、25年11月に議会に提出された鉄道法案(Railways Bill)が議会で審議中であり、制度の骨格はまだ確定していない段階にある。

「見た目」が先行するGBR

そんな中、政府は制度よりも先に「統合された鉄道」のイメージを示そうとしている。法制度の成立を待たず、25年末にはGBRのブランドイメージが発表された。赤・白・青の配色と旧国鉄時代からの「ダブルアロー」の意匠を組み合わせたこのデザインは、駅やウェブサイト、車両への展開が進められている。

GBR デジタルサイネージ 駅
「グレート・ブリティッシュ・レイルウェイズ(GBR)」をPRするデジタルサイネージ(筆者撮影)
【写真】ロンドンのターミナルの1つリバプール・ストリート駅に停車する、25年10月に国営化された「グレーター・アングリア」の新型電車

GBRブランドの導入で、組織が分かれた状態のままでも「イギリスの鉄道はひとつである」というメッセージの可視化を先行させた格好だ。ただし現時点では車体に「GBR まもなく登場」と表記されるなど、制度と実態の間に時間差があることが露呈しており、なんとも歯切れが悪い。

イメージが先行している再国営化だが、前述の通りすでに複数の主要運行会社が国営持ち株会社の傘下に移行しており、これは民間に委ねられていた運行が実質的に公共サービスに転換しつつあることを示している。21年に将来像として提示されていた状態が、部分的にはすでに実現しているといえる。

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