スタートアップ企業が自律的に育ち、産業の屋台骨を支える地域には、物理学的な必然性がある。それは「衝突密度」の高さだ。
本来、衝突密度とは単位時間・単位体積当たりの中性子と物質の衝突回数を指す。これを都市エコシステムに当てはめれば、「経済活動の密度」と「プレーヤーの多様性」の積として定義できる。
「密度」とは一定地域内のスタートアップや支援者の数であり、「多様性」は官民、投資家、教育機関、メディア、そして専門家集団がそれぞれの役割を全うしている状態を指す。
起業の数と多様性が劇的に向上する「共同投資」
この衝突を誘発する触媒こそが、異なる領域のスタートアップに投資し、それらを結び付ける「共同投資」である。世界89都市、9.2万件の投資データを用いた実証研究により、共同投資によって起業の数と多様性は劇的に向上することが明らかになった。
共同投資は、メディアとテック、ファッションとeコマースといった「異種交配」を促す。仮説検証は加速し、筋の悪いアイデアは早期に淘汰され、強靭なスタートアップが生まれる。
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【モデル地域はどこか】

