また、もともと静かであったBEVの静粛性も近年はさらに高まった。逆位相の音で騒音を打ち消す「アクティブノイズコントロール技術」や、徹底した空力解析が施されたボディ設計、さらには新たに開発されたBEV専用タイヤの貢献度合いが大きい。
走行中の騒音発生源のうち、風切り音はボディやドアミラーなど突起物の形状に由来する。この低減に求められるのはスムースな空気の流れだ。具体的には、前面投影面積の縮小と空気抵抗係数を下げる造形に加え、こちらは走行時の安定性能向上の意味もあるが、ボディ下部の凸凹を抑えるフラット化などの相乗効果により音の発生量が小さくなる。
しかしながら市場では、BEVにおいても全高の高いSUV人気が高く、幅狭ボディであっても前面投影面積の縮小は難しいが、空気抵抗係数の低減とボディ下部のフラット化などで風切り音はずいぶんと抑えられた。また、空気抵抗を減らしたことで、BEVが不得意とされていた高い車速域での電費数値も伸びてきた(例:WLTC高速道路モード)。
タイヤの性能も大きく進化した。パターンノイズとロードノイズに代表される音の発生源は、BEVに特化した音解析と、重くなった車両重量に耐える設計思想(例:トレッド面やサイドウォール剛性の最適化)により大幅に抑制された。その成果として20年あたりからBEV専用タイヤが市販されている。
キャデラック初となるBEVのSUV「リリック」
試乗はキャデラック・ブランド初のBEVのSUVモデルとして誕生した「リリック」から行った。日本市場では26年3月25日、リリックをベースにして電動駆動モーターのパワー&トルクを向上させたスポーツモデル「リリック V」が発表されたが、試乗したのはベースモデルである。
キャデラックが長年培ってきた安全哲学と乗り味をBEVとして成立させた点が大きなポイント。ボディは大柄だが右ハンドルであること、見切りがいいことなどから取りまわしは想像以上にいい。車両価格は1100万円と高価だが、円安傾向の為替レートや走行性能からすれば抑えられている。



















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