学級づくりの土台として私が大切にしているのが、「信・敬・慕」という考え方です。
これは、私の師である野口芳宏先生の言葉です。信頼され、尊敬され、慕われる。この3つが、学級の土台になります。
まず「信」。信頼は最初から存在しません。だからこそ、約束を守ることが重要です。言ったことはやる。ルールはぶらさない。困ったときは必ず助ける。この積み重ねが信頼になります。
次に「敬」。尊敬は授業に表れます。「この先生の授業は面白い」「学びたい」と思えるかどうか。教師の専門性が問われる部分です。
そして「慕」。これが最も難しい要素かもしれません。子どもが「この先生が好きだな」「近くにいたいな」と感じること。安心できる存在であることです。
ベテランの教師ほど、授業によって尊敬は得やすくなります。しかし「慕われること」は、年数とは別の難しさがあります。特別なテクニックがあるわけではありません。
一緒に関わる時間を持つこと。話を聞くこと。笑顔でいること。そうした日常の積み重ねの中で、「この人は安心できる」と感じてもらえるかどうかです。
人は、信頼や尊敬だけで動くわけではありません。「この人が好きだ」という感覚があって初めて、関係は自然に動き出します。言い換えれば、子どもは「正しい人」ではなく、「安心できる人」に従うのです。
だからこそ4月は、「好かれること」ではなく、「安心されること」を目指すことが大切です。
なぜ5月に明暗が分かれるのか
5月の時点で、学級は大きく2つに分かれます。4月に土台ができた学級は、自然と落ち着いていきます。
一方で、関係が築けなかった学級は、ズレが積み重なり、苦しさが増していきます。つまり4月は、結果を出す月ではなく、土台をつくる月なのです。
ここまで読んで、「うまくいっている」と感じている人と、「まずい」と感じている人がいるはずです。この時期は、学級が大きく分かれる分岐点でもあります。だからこそ、2つのパターンに分けて考える必要があります。
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【信頼関係が崩れかけている場合は…】
