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あなたも知らずに誰かを傷つけているかもしれない…日常に潜む小さな攻撃「マイクロアグレッション」の正体

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「無自覚なの攻撃」の怖さ
社会における偏見や差別、固定観念のほとんどが「無意識」のうちに起こります(写真:mapo/PIXTA)
  • 内田 舞 小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長
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というのも、このマイクロアグレッションは加害者側にとってはわかりにくい小さな攻撃であり、被害者側でないとなかなか理解できないものだからです。

また、被害者側にとっても、マイクロアグレッションはその場ですぐさま自分の身の安全を脅かす攻撃ではないため、気にしないようにしようと思えば、まったく気にならないというわけではありませんが、大ごとにせずに過ごすこともできます。

本当は気になる。けれども、気にしないように“させられて”いるので、かろうじて前に進むことはできる。しかし、その小さな傷が積み重なっていくうちに、やがて大きな傷になってしまう。それがマイクロアグレッションです。

マイクロアグレッションは、実際に受ける立場にならないと不愉快さがわかりにくいため、被害者が嫌な思いをした経験を話して共有しようとしても、「深く考えすぎ」「気にしすぎ」などと、周りからその思いを否定されることが多くあります。

周囲の理解を得られないために、被害者はより大きなダメージを受ける場合も多くあります。

日本社会においては、「女性」がいまだにマイノリティであるため、無意識のジェンダーバイアスと、そこから生まれるマイクロアグレッションが至るところに潜んでいます。

たとえば、仕事で的確な判断をし、はっきりと意見を言うリーダーは、男性であれば「説得力がある」「リーダーシップがある」と賞賛されることが多い一方、女性であれば「鉄の女」などと呼ばれることがありますが、こうした言葉に表れるジェンダーバイアスもマイクロアグレッションの1つです。

ジェンダーバイアスやマイクロアグレッションに出会う頻度が高くなるほど、最初は抱いていた違和感や抵抗感を口にすることが難しくなり、「こういうものだから仕方がない」と、社会の空気として受け入れ、スルーすることが日常化していきます。

しかし、違和感は心の中から消えるわけではありません。チクチクとうずきながら、心にダメージとして降り積もっていくこともあるでしょう。

私は日本を出てアメリカに向かう決意をしましたが、場合によってはあきらめてしまうことや、心が折れてしまうことも大いにありえます。

200回、蚊に刺されるような…

「マイクロアグレッションは、蚊に刺されることに似ている」という説明を受けたことがあるのですが、わかりやすいと感じました。

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【耐えがたい苦しみに襲われる】

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