東洋経済オンラインとは
ライフ

あなたも知らずに誰かを傷つけているかもしれない…日常に潜む小さな攻撃「マイクロアグレッション」の正体

9分で読める
「無自覚なの攻撃」の怖さ
社会における偏見や差別、固定観念のほとんどが「無意識」のうちに起こります(写真:mapo/PIXTA)
  • 内田 舞 小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長
2/5 PAGES

人の脳は効率的で、エネルギーの消費を節約して機能できるように、何度も同じことを見たり聞いたり経験したりすることによって、「これはこういうもの」という回路を作り、回路が完成したものに関しては「もうこのことについては考えなくていい」と、前頭前野を抑制するシグナルを送ります。

すなわち脳は、日常生活で反復して接する情報に関しては「習慣化」することで、考えなくても自動的に処理できるようにします。

わかりやすい例で言うと、新しい職場に初めて出勤する際には、どの駅で電車を降りて、どの角を曲がって……と考えながら行かなければなりません。このとき脳は活発に動きます。

それを何回か繰り返すうちに、何も考えずにぼんやり歩いていても職場に着けるようになるでしょう。同じ道を何度も通るごとに、脳内の神経回路がつながり、ネットワークが増強されていく。

そして増強された脳内の神経回路ネットワークは、「線条体」という脳部位を通して、「考える」担当の前頭前野の働きを抑制して、「もうこの道については考えなくていいよ」というシグナルを送るのです。これが「習慣化」です。

だから、逆に「今日はいつもと違う場所に行かなければならない」というときにも、「うっかりいつもと同じ駅で降りてしまった」ということがあるわけです。

これは、「考えなくていい」という抑制シグナルが送られ、脳が反復された神経回路ネットワークを使って自動で機能しているからです。

こういった反復の末に形成される神経回路ネットワークは、日常生活における行動的な習慣だけでなく「考え方」においても同様に当てはめることができます。

同じことを何度も見る、聞く、コンセプトとして教えられるなどするうちに、それを「こういうものだから考えなくていい」というシグナルが前頭前野に送られてしまうのです。

「固定観念」という「習慣」

社会から何度も「女性はこうあるべきだ」と同じメッセージを受け取ったり、「周りで目にする女性はこういうタイプが多い」といった経験が積み重なったりするごとに、「固定観念」という「習慣」が形成されます。

それが反復されるに従い、脳に増強された神経回路ネットワークが築かれ、「このことについては考えなくていい」という抑制のシグナルを受け取ります。

次ページが続きます:
【考え方を変えるには?】

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象