社長交代で始まるトヨタ自動車の新たな挑戦/中国勢が握る次世代車の覇権、新車の価値はソフトウェアが決める時代に

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アメリカのEV専業テスラは「フルセルフドライビング(FSD)」と呼ぶ自動運転技術を月額99ドルで販売。リカーリングビジネスの構築を進めるとともに、蓄電池事業も手がけ、EVを基軸としたビジネスの構築を加速する。

中国ではスマートフォン大手の小米(シャオミ)が、スマホや家電と連動するOS(基本ソフト)を搭載したEV「SU7」を投入。同じくスマホ大手の華為技術(ファーウェイ)は、OSや半導体、センサーなどを内製化。ADASやIVIなどSDVで大きな価値を持つ領域をパッケージ化して、中国車メーカーに提供し始めた。

「もはやEVやHV(ハイブリッド車)、ガソリン車などパワートレインの議論の次元を超えた。AIや高性能な半導体を駆使し、新しい事業モデルをどう築くかだ」。大手自動車メーカーの幹部は複雑な表情を浮かべる。

今年に入ってからは、テスラのイーロン・マスクCEOがAIや半導体に300億ドル(約4兆5000億円)を投資すると表明。ヒューマノイドロボットやロボタクシーといった、AIと半導体を軸とする新製品の生産にも乗り出す。

稼ぐ軸は継続課金モデル

いずれにしても、従来のように新車を売って終わる「売り切り型」ビジネスから、継続的に収益を得られる「リカーリング」ビジネスをいかに構築するかに、競争軸は変わりつつある。

政府も新興勢力の台頭と産業構造の変革に対し、自動車産業全体の対策の策定に乗り出した。経済産業省はSDVを「車と外部の通信により、販売後もソフトウェア更新(OTA)で機能・性能が進化する自動車」と定義。そのうえで、30年に日系シェア3割(約1200万台)というグローバル販売目標を打ち出した。

経産省自動車課の黒籔誠モビリティDX室長は「中国市場では中国メーカーのSDVが売れている。アジア市場でも中国メーカーのシェアが伸びつつあり、産業構造全体を改めてデザインする必要がある」と強調する。

市場環境の激変に、既存自動車メーカーは追随できず、事業の縮小や撤退の動きも出てきた。

ホンダとソニーグループが共同出資するソニー・ホンダモビリティは3月25日、開発を進め今年中に北米で投入予定だったEV「AFEELA(アフィーラ)1」など2車種について、開発の中止を決定した。EV需要の鈍化やアジアでの販売減を受け、ホンダが計2.5兆円のEV関連損失を計上して戦略を練り直す事態となったことが直接の原因だ。

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