F1鈴鹿で実証した「26万人が集まっても決済や配信が滞らない」5G新設計が変えた大規模イベントの通信現場

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フジテレビの技術担当者は「従来の衛星中継装置より画質が良く、遅延も少ない。持っていって電源を入れればすぐ映る」と評価した。

フジテレビ 映像伝送
フジテレビの映像伝送に使われたシステム構成図。カメラにソニー製エンコーダーとミリ波端末を組み合わせ、サーキット内のレコーダーに映像を飛ばす(写真:筆者撮影)

金曜のスタンドはがらがらだった

正直に書くと、取材日の金曜はグランドスタンドに空席が目立っていた。この状態でスピードテストを走らせるとダウンロード速度が光回線並みの1Gbpsを超え、フルHD動画もスムーズに再生できた。ほぼ無負荷に近い環境だからこそ出せた数値だ。

鈴鹿サーキット
金曜のフリー走行を走るF1マシン。決勝日の日曜には数万人がスタンドを埋め、席でスマホのレース映像を同時視聴する(写真:筆者撮影)

決勝日の日曜は14時にレースが始まり、スタンドが埋まる。席でスマホのレース映像を見ながら現地観戦するファンが何万人も同時にネットワークに負荷をかける。ソフトバンクはこの事態に備え、1分間隔でネットワークの状態を自動監視し、通信パラメータを自動で調整する仕組みを導入した。通常は15分〜1時間間隔で行う作業だ。

27セルの大規模アンテナ、6つのスライス、1分間隔の自動制御。ソフトバンクはこの3つの対策を敷いたうえで、日曜の決勝を迎える。藤野氏は「ここで実現したものを他のイベントやテーマパークに広げていく。この体験を非日常から日常に変えたい」と語った。

決済エラーがなくなり、テレビ中継の準備が1日がかりから数分に縮まり、使われていなかった周波数が来場者のWi-Fiに化ける。速度が速くなることだけが5Gの価値ではない。用途ごとに通信の質を変えるという発想が、大規模イベントの裏側を確実に変え始めている。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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