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「努力すれば成功できる」は本当か…数百万人規模の遺伝子データが揺さぶる教育の前提

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  • 安藤 寿康 行動遺伝学者・慶應義塾大学名誉教授

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遺伝学者のロバート・プロミン(写真:David Levenson/Getty Images)
「努力すれば成功できる」多くの人はそう教わってきた。しかし近年のゲノム研究は、知能や学業成績、性格などの個人差に、一定の遺伝の影響があることを示している。もちろん、遺伝ですべてが決まるわけではない。だが科学に拠るなら、これからの教育、社会の格差はどう変わるのか。学校教育は同じやり方でよいのか? 努力や自己責任を前提とした評価制度は適正なのか? 
安藤寿康(行動遺伝学者・慶應義塾大学名誉教授)は、ロバート・プロミンの新著『こころは遺伝する』を、「私たちの世界観を揺さぶる書物」と語る。『「遺伝はタブーではなく事実」最新のDNA研究が突きつける"能力差の現実"』に続いて、同書収録の「解説」から一部を抜粋して紹介する。

圧倒的なデータの厚み

行動遺伝学の強みは、その圧倒的なデータ規模と結果の再現性にある。心理的形質のみならず、生物学的、医学的、人類学的形質を含むあらゆる人間の個人差に無視できない遺伝の影響があることを示したPoldermannら(2015)の3000本近くの双生児研究メタ分析は、それ以降の単に遺伝規定性を示すためだけの双生児研究を不要にするほどの圧倒的な説得力を示した。

そしてプロミンのこの本が描くDNA革命は、さらに数十万、今や数百万人規模(ただし白人である)のゲノムデータを用いて、分子レベルからの遺伝の影響の実在性を、これも有無を言わさず示した。これらのデータ数とサンプルの代表性は、従来の社会調査とは桁違いである。

その成果は、単なる精神疾患や学業達成の予測にとどまらず、教育への制度的介入が特にPGSの低い人たちの階層に効果的に寄与することや、子どもに伝わっていない親の遺伝的変異が子どもの学習環境に影響するという遺伝の間接効果を示すなど、さまざまな応用研究に発展している。

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【相次ぐ社会的議論の展開】

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