「朝夕は53分も踏切が開かず」「百貨店は消滅、ヨーカドーも閉店」…埼玉にある「駅の東西で分断された街」衰退の背景

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調べると、その理由はすぐにわかってくる。春日部駅にはJRは乗り入れていないし、新宿・品川方面への直通がないため、行き先によっては乗り換えが必要だ。市内4駅のうち急行が止まるのは春日部駅のみで、次に乗降客の多い一ノ割駅でさえ急行が通過してしまう。

また、「都心まで約45分」と言っても起点は浅草なので、通勤通学者の行き先である新宿や東京には実質もう一手間かかる。

決して不便ではないのだが、便利ではない。だからこそ、日々過ごすなかで、多忙な勤労世帯には小さな不満が募ってくる……人々が交通面で不満を抱くのは、なにも春日部駅の「東西分断」だけではないのだ。

なぜ春日部は、越谷や流山のようにならなかったのか

春日部が静かに衰退するなかで、同じベッドタウンでも、意図的な投資によって「選ばれる街」になった例はある。

例えば千葉県流山市はつくばエクスプレス開業をきっかけに子育て世代の「住みたい街」となり、2015〜2020年の5年間で人口増加率10%超、全国8位の増加数を記録した。一方、春日部市の人口は2000年をピークに減少へ転じており、2050年には約17万人まで減ると推計されている。

住む人ではなく、観光客だとどうか。同じ埼玉県の越谷市はイオンレイクタウン(2008年)を核に「来てもらう街」をつくり、今では観光スポットとしても知られるようになった。2020年時点で人口は34万人を超えている。

東口にある観光案内所「ぷらっとかすかべ」
東口にある観光案内所「ぷらっとかすかべ」(写真:筆者撮影)
ぷらっとかすかべ内にあるイトーヨーカドー春日部店から移されたモニュメント
ぷらっとかすかべ内にはイトーヨーカドー春日部店から移されたモニュメントが展示されている(写真:筆者撮影)

とは言え、春日部も『クレヨンしんちゃん』という強いコンテンツがある。観光にも良い影響を及ぼしていそうに思えるが……観光案内所のスタッフに話を聞くと、「東と西で全然違う街なんですよ。観光スポットも西に集まっていて。東側にももっとお店ができればいいのに」と話してくれた。実際、外国人観光客がクレヨンしんちゃんのモニュメントを撮影していたが、そのまま駅へと吸い込まれていった。

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