天才なら殴ってもいい?顔面を殴打、壁に叩きつけ…「世界最高のシェフ」が暴力告発で辞任の衝撃も"氷山の一角"の実態
09年から17年にかけてレゼピ氏が従業員の顔面を殴打し、調理器具で突き刺し、壁に叩きつけるといった身体的暴力を日常的に繰り返していたとする数々の証言が詳細に記されていた。勤務中に携帯電話を使用しているところを見られた女性スタッフが、激高したレゼピ氏に殴られ、金属カウンターに倒れこんだとする生々しい証言もあった。
報道を受けて、元発酵部門責任者のジェイソン・イグナシオ・ホワイト氏がSNSで証言を募り始めると、名乗り出る元スタッフはたちまち56人を超え、事態は決定的なものとなった。
そして3月12日、レゼピ氏はInstagramを通じてNomaの総料理長を辞任すると表明した。
辞任の背景には、抗議活動の激化と深刻な経済的ダメージがある。アメリカン・エキスプレスをはじめとするスポンサー企業がロサンゼルスのポップアップイベントから相次いで撤退したのだ。
このスポンサー離反がもたらす経済的損失は計り知れない。数カ月に及ぶ海外での大規模なポップアップイベントは、莫大な機材輸送費やスタッフの滞在費がかかるため、グローバル企業からの協賛金がビジネスモデルの根幹をなしている。
スポンサーの離反は大きな収益減に直結するだけでなく、ブランドイメージの失墜による将来的な提携の白紙化をも意味する。かつては「天才への投資」として群がった企業も、今やコンプライアンス違反のリスクを抱えるシェフには即座に背を向けるのが冷徹な現実だ。
世界中の厨房で似たような事態が起きている
Nomaの問題が特別なのではない。世界中の厨房で、似たような事態が繰り返されてきた。
フランスでは、パリの三つ星レストラン「プレ・カトラン」で修業していた料理人が、厨房スタッフから熱したスプーンを腕に押しつけられ火傷を負った事件が、業界全体のハラスメント問題を可視化するきっかけとなった。
これを受けてミシュランガイド二つ星を獲得していたシェフのジェラール・カーニャ氏は「現代の料理界には真の倫理規定が必要だ」と訴え、フランス国家最優秀職人章(MOF)受章者5人が賛同署名した。フランスでも料理界のMeToo運動が起き、大手日刊紙リベラシオンやル・モンドが厨房での性暴力を大型特集として取り上げた。





















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