「何度侮辱すれば気が済むの?」「頼むからもう何も喋らないで」 神田沙也加さん元恋人が「交際話で大炎上」法的問題点
つまり、刑事上の名誉毀損罪が成立するには「虚偽の事実の摘示」に当たることが必要です。この発言は「〜と思うから」という形で主観的な意見・評価として語られており、特定の事実を摘示したとも評価しにくく、「虚偽」であることの立証も困難です。したがって、刑事上の名誉毀損罪の成立は難しいと考えられます。
侮辱罪(刑法231条、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金など)はどうでしょうか。
「呪われないかな?」などの発言は、死者に対して不謹慎な発言をしていることを自覚しての発言と思われ、故人に対して侮辱的であるとも映ります。
しかし、学説上、死者には侮辱罪が適用されないとされています。なぜなら、刑法230条2項が死者への名誉毀損罪の適用をわざわざ「虚偽の事実の摘示」に限定したにもかかわらず、事実の摘示すら不要な侮辱罪が死者に成立するとなると、230条2項の意味が失われかねないからです。
まとめると、刑事上の責任を問うことは難しい状況です。
民事では、遺族への不法行為が問われる可能性がある
刑事上の責任が難しくても、民事上の問題は別に考える必要があります。
まず構造を整理します。亡くなった方は権利能力を失うため、神田さん自身の名誉権やプライバシー権を根拠に遺族が代わりに賠償請求する、という構成は難しいといえます。
しかし、裁判例上、「故人に対する遺族の敬愛追慕の情」は人格的利益として保護されており、これを違法に侵害すれば遺族に対する不法行為(民法709条・710条)が成立しうるとされています。
「敬愛追慕の情」とは、故人を大切に思い、その記憶を守りたいという遺族固有の感情的・人格的利益のことです。多くの裁判例がこの考え方を採用しています(東京高裁昭和54年(1979年)3月14日など)。
また、他者に不快感を与えた場合、常に精神的損害についての不法行為が成立するわけではなく、「受忍限度」つまり我慢すべき限度を超える場合に限って損害賠償が認められるとされています。
受忍限度を超えるかどうかは、死亡からの経過時間、発言の内容・態様、拡散の程度などを総合的に考慮して判断されます。今回の動画において、受忍限度を超えたと評価されやすい事情として、以下のような点が挙げられます。
まず、先輩ホストとみられる人物が「2カ月しか付き合ってない子が急にポーンみたいな」と述べた発言です。神田さんの死を「ポーン」という軽い擬音語で表現したものであり、故人の死を著しく軽く扱っているとも読め、遺族の心情を傷つける表現といえます。
次に、先輩ホストとみられる人物が「感情に身を任せて行動しすぎちゃって、人に迷惑かけてる」と述べた発言です。神田さんを「感情的で他人に迷惑をかける人物」と公然と、かつ一方的に評価する内容であり、遺族の心情を傷つけるものといえます。
また「呪われないかな?」という発言も問題だと思います。故人の霊に呪われる可能性を笑いながら口にするもので、故人の尊厳を著しく軽視していると受け取られかねません。
さらに、「俺は人を〇すと思わないから」という先輩ホストとみられる人物の発言も問題だと思います。




















