「何度侮辱すれば気が済むの?」「頼むからもう何も喋らないで」 神田沙也加さん元恋人が「交際話で大炎上」法的問題点
この発言は元交際相手を擁護する意図からのものでしょう。しかし、神田さんの死を「人を〇す」という言葉と結びつけ、笑いを交えながら語った点は、遺族にとって精神的な打撃となりうると考えられます。
これらに加え、元交際相手も、交際の経緯などの私的な情報を詳しく語っており、「しょうがないじゃん」と述べている点も、発言の態様が受忍限度を超える方向で評価される事情といえます。
また、これらの発言のすべてが、時折笑いを交えながら行われていたという、発言全体の態様も、受忍限度を超えると考慮される事情といえるでしょう。
そのほか、神田さんの死去から5年以内という比較的短い期間であること、YouTubeという拡散力の高い媒体であることも、受忍限度を超えているという方向に働く事情といえます。
一方、違法性を否定する方向の事情もあります。発言全体が、元交際相手の自己弁護を中心とした会話という形をとっており、神田さんを直接批判することを主目的とした動画ではないこと、神田さんの社会的評価を直接貶める断定的な事実の摘示をしたわけではないと考えられること、などです。
また、その後すぐに動画が削除され、元交際相手の男性が「申し訳ありませんでした」とコメントを出していることは、侵害行為が続けられているわけではないということや、行為の悪質性がそこまで高くないと判断される根拠として、一定程度考慮されると思われます。(もっとも、動画が既に転載・拡散されているという事実は依然として残ってしまいます)
なお、故人を揶揄(やゆ)するともとれる内容について、受忍限度を超えているとは認めず、不法行為責任を否定した裁判例も存在します(東京地裁平成25年(2013年)6月21日裁判例。ただし記者と出版社に対する訴訟)。
以上をまとめると、民事上の遺族への損害賠償請求という形であれば、受忍限度を超えたとして損害賠償が認められる可能性は否定できないと考えます。
自殺対策基本法が定める「配慮」
参考として、自殺対策基本法(2006年施行)9条にも触れておきます。同条は「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない」と定めています。
この規定は国や公共団体に対するものと考えられますし、刑事罰や損害賠償を直接定めるものではありません。
もっとも、民法上の不法行為における受忍限度の判断において、自殺者遺族の平穏が、民事上も保護されるべき重要な権利・利益であると考える背景として考慮される余地があります。
法的責任の追及が仮に難しいとしても、この法律が求める「遺族の名誉と生活の平穏への配慮」が、今回の動画において尽くされていたといえるのかという問題は、法的議論とは別に残り続けるように思います。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)
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