元・為替市場課長が徹底解剖「日本経済の稼ぐ力」 現在のデータから未来を読む 資金フローが示す日本の生きる道

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債券等も含めた「対外証券投資」は、14年のNISA創設後は増加しましたが、ここ数年勢いを失い、22年はマイナス(売りが買いよりも多い)で、24年の新NISA開始後も10年代の水準に達していません。

教養としての為替
『教養としての為替』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

債券等を除いた「株式・投資ファンド持分」は更に伸びを欠き、新NISA開始後も大半の月でマイナスになっています。

理由としては、i)円安になると外貨建て資産の円換算額が増えるので、利益確定の売りが出ること、ii)対外証券投資の「取得」額全体に占めるNISA買付額のシェアは3%弱といまだ小さい(24年データ)、等を指摘できます。 

いずれにしても、「NISA増は今後大きな円売り要因になる」というデータ上の証拠を現時点で見つけることは難しいと思われます。

直接投資の年間収益額は、新規直接投資額と同じ水準に

4. 日本の生きる道と読者へのメッセージ

近年、日本が行っている海外への投資の過半は「直接投資」になっています。下の2つのグラフを見てください。

教養としての為替
(画像:かんき出版提供)
教養としての為替
(画像:かんき出版提供)

「証券投資」は増減がある一方、「直接投資」は安定して増え続けています。そして直接投資の年間収益額は、今や年間の新規直接投資額と同じ水準にまで増加しています。海外事業への投資が上手くいき、高い収益を生んでいるのです。

これこそが今後の日本の生きる道を示すものと思われます。日本の「稼ぐ力」の強化が更に明らかになれば、「日本売り」という声は次第に出なくなってくるでしょう。

大事なことは、海外投資からの収益の使い道です。「日本の将来の成長の確固たる基盤を創るために」使う必要があります。例えば、AIや量子コンピューター等の研究開発に活用する、又は持続的な賃上げに使う、ということになれば、日本経済の未来は更に明るくなる、と思っています。

経済を冷静に見て、経済の明るい側面にも目を向けて、明るい未来を考えていこうではありませんか。貴方ができることが、きっとある。

Think positive. Think ahead. You can make a difference.

大矢 俊雄 DeNAチーフエコノミスト

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おおや としお / Toshio Oya

DeNAチーフエコノミスト。元財務省審議官、元国際協力銀行常務取締役、元内閣官房内閣審議官。1986年大蔵省(現・財務省)入省。コロンビア大学ロースクール留学、IMF審議役、世界銀行理事代理、財務省主計局国土交通・環境係担当主計官、国際局為替市場課長、金融庁国際担当参事官、アジア開発銀行(在マニラ)人事・予算担当局長、財務省大臣官房審議官(国際局担当)、国際協力銀行常務取締役、内閣官房内閣審議官兼海外ビジネス投資支援室長などを歴任。現在はDeNAチーフエコノミストを務める。著書に『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』(東洋経済新報社)などがある。

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