元・為替市場課長が徹底解剖「日本経済の稼ぐ力」 現在のデータから未来を読む 資金フローが示す日本の生きる道

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2.「デジタル赤字」の動向

経済のデジタル化は不可避です。その中で、「デジタル赤字は構造的なものであり、今後大きな円売り要因になる」という主張があります。

「デジタル赤字」に公式の定義はありませんが、一般に、国際収支の「サービス収支」の項目の中の「著作権等使用料」「通信・コンピュータ・情報サービス」「専門・経営コンサルティングサービス」の3つの収支の合計額、とされているようです。

それでは、サービス収支と、それに含まれる「デジタル赤字」を構成する各項目等の推移をグラフで見ることにします。

教養としての為替
(画像:かんき出版提供)

このグラフを見てどのような感じを持つでしょうか? 横ゼロ線の下(=日本からの流出)の「デジタル赤字」の3つは、最近2年間は増えておらず、経常収支や為替相場に大きなインパクトがあるようには見えません。

更に以下の2点を指摘しておきたいと思います。

1)そもそも、サービス収支全体額が経常収支に占める寄与度は、上記グラフ1で確認できるように僅少です。

2)「デジタル赤字」の額の一定部分は日本に戻ってきています。

海外の「デジタル系」企業に日本企業が出資・買収する場合、その海外企業の収益の一部は配当という形で日本企業に還流します。こうした動きは既に始まっています。

データを取りやすい保険・金融分野を見てみましょう。「保険・年金サービス」と「金融サービス」の合計のサービス赤字額は24年で2.5兆円。正確な比較ではありませんが、「金融・保険業」の同年の直接投資収益は6.1兆円の黒字ですから、日本企業が海外の保険・金融企業のサービスに支払っている額より、日本企業が海外の保険・金融企業への過去の投資から得る収益の方が大きいことになります。

資金の流れはこうした全体像を見ることが重要です。

NISAの投資先は大半が海外株式

3.NISA活用増加の影響

NISAは、日本の富を増やし成長に寄与する重要な取り組みで、その買付額は順調に増えています。その中で、「NISAの投資先の大半が海外株式なので、今後大きな円売り要因になる」との指摘が見られます。まずは下記グラフで対外証券投資全体のデータを見てみましょう。

教養としての為替
(画像:かんき出版提供)
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