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若い女性教師が「学校に行けなくなった」深刻な理由 「この仕事を選んでよかった」→次第に頭の奥がズキッと痛むように

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2年が経過する頃、水野さんの心の状態を確認したわたしは、水野さんの仕事を再開したいという申し出にGOサインを出しました。

本記事では一部のみ掲載しましたが、ここに至るまでに水野さんは一進一退を繰り返し、葛藤を乗り越えてきました。その成果が出たのです。

嵐は必ず通り過ぎる

水野さんはゆっくりと社会に戻る道を歩み始めました。かつての教師という立場には戻らず、特例雇用枠の事務職として新しい職場に通っています。

教壇に立たなかったのは、「もう子どもたちの前に立つ勇気がない」からではありません。発作の経験を通して、自分の心と体のペースを尊重しながら働くことを学んだからです。

教師という仕事は、心理的にも肉体的にもハードです。水野さんは、「自分のペースで丁寧に働ける場所を選ぶことも、前に進むひとつの形」と考えるようになったのです。

それでも時折、緊張の波はやって来ます。

それでも水野さんはもう知っています。パニック発作という名の嵐は、必ず通り過ぎることを。「これは勘違いだ」と気づけば、体は自然に静まることを。

そして、この経験は水野さんだけのものではありません。心の病を抱えていない人でも、誰もが不安や恐怖といったネガティブな心の波に飲み込まれそうになる瞬間を持っています。

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多かれ少なかれ、憂鬱な日もあれば、晴れやかな日もある。できることなら、いつも穏やかでいい気分のままでいたいものですが、そうはいかないのが人間であり、人生というものかもしれません。

もし憂鬱な気分が訪れたときは、水野さんのように少し距離をとって、自分の心を客観的に眺めてみてください。

そして、「あ、来たな」と気づいたら、その波をどう乗り越えるかを考えてみる。そうすることで、波に飲み込まれずにすむはずです。

「心が強い」というのは、何事にも打ち勝つ鋼のような心を持つことではありません。むしろ、水野さんのように、苦しみやつらさをしなやかに受け流す力のことだと思います。

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