若い女性教師が「学校に行けなくなった」深刻な理由 「この仕事を選んでよかった」→次第に頭の奥がズキッと痛むように

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ある日のこと、水野さんが誇らしげな表情で私に報告してきました。

水野:バス停のベンチに座ることができました。

広岡:すごいですね! また、一歩前進しましたね。

水野:心臓が速くなって、車の音が怖かったです。でも、「これは勘違いだ」と言い聞かせて。

広岡:わたしたちの目標は、「怖さを抱えていても、そこにいること」です。逃げないでバス停にいられただけでも素晴らしいですね。

ストップがかかる方法は人それぞれ

水野さんは、暮らしの中での工夫も増えたようです。「朝、ベランダで日を浴びる」「短時間でも散歩を週に数回」「買い物のレジに並ぶ練習をする」など。

調子が悪い日は無理をせず、良い日は少し時間や距離を延ばしてみる。その過程で、水野さんは、ガムを噛むと不安になる心にストップがかかりやすいことに気づきます。

ストップがかかる方法は、人それぞれです。

不安になりかけたとき、遠くの看板の文字を読む、楽しそうにしている人を観察して空想する、気持ちがポジティブになる音楽を聴く……。水野さんは、それができるようになってきたということです。

治療を始めてから1年後には、不安レベル2「バス、電車の乗り継ぎができる」にたどり着きました。最初はお母さんや友人と一緒だったそうですが、慣れてきたら、ひとりで複数駅の往復に挑み、成功体験を重ねていきます。

やがて水野さんはひとりでバスと電車を乗り継ぎ、遠方へ行けるようになりました。帰りの車窓を流れる景色の向こうに、かつての自分がいて、小さく手を振っているように感じたと話してくれました。

映画館で最後まで作品を観られたと笑顔で話してくれたのも、この頃です。

水野:途中で少しドキドキしましたけど、「ここで逃げたらもったいない」と思っていたら、最後まで。観たい気持ちが怖さを超えたわけですね。終わった瞬間、「やった」と思わず声が出てしまいました。

広岡:そうなるのはわかります。やりましたね。

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