日本でも人気高まる韓国の詩人・尹東柱、訳詩集にくすぶる「4文字」の誤訳論争
韓国で国民的詩人と呼ばれる尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~45年)の詩への関心が日本で高まっている。戦前日本に留学しながら、治安維持法違反の容疑で逮捕され、27歳の若さで獄死した。
日本語訳の詩集が最近復刊され人気を博しているほか、日本で最初に在籍した立教大学(東京・池袋)には彼の詩碑ができ、観光名所になっている。一方で、名訳とされ、広く普及している日本語訳の一部に「誤訳がある」として、今も論争が続いていることはあまり知られていない。(敬称略)
韓国では教科書に掲載されるほどの詩
同志社大学(京都市)のキャンパスには、韓国人観光客があいついで訪れる。ちょうど私が訪問した時も、数人が碑の前で手を合わせていた。「私たちは子どもの頃から彼の詩を教科書で読んでいました。こんなにきれいに手入れをしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです」。ソウルから来たという女性はそう語った。
碑の前には花束や、大韓民国の国旗、詩人として志半ばで亡くなったことを惜しんでか、鉛筆やボールペンを置いていく人もいる。この碑は、尹東柱の代表作「序詩」(1941年作)をハングルと日本語で刻んだものだ。
尹は中学生時代から詩を書き始め、文学を志してソウルの専門学校に入学。来日して立教大学、同志社大学で学んだ。彼の詩集『空と風と星と詩』は、終戦後の1948年に韓国で初めて刊行され、ベストセラーとなった。中でも「序詩」と題された短い作品は、代表作として知られる。その詩を訳し、早く日本に紹介したのが、伊吹郷(いぶき・ごう)だ。伊吹訳の「序詩」は、日本の教科書にも掲載されている。
伊吹は、神田の古書店でこの詩集のハングル版を偶然目にし、翻訳を決意した。1984年に『尹東柱全詩集 空と風と星と詩』(影書房)というタイトルで出版した。こなれた日本語でつづられており、尹東柱が治安維持法で拘束された際の裁判記録を探し出し、捜査関係者にインタビューも行っており、初期の尹東柱研究に大きく寄与した。



















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